公益社団法人 大阪府鍼灸師会

報告令和6年度11月度学術講習会NEW

令和6年度11月度学術講習会開催にあたり


 今期も残すところ2回となりました。今回ご講演いただいた伊佐治先生とは、東洋医療専門学校で同じ非常勤講師としての立場で学生に授業をしております。しかし、曜日が違うため面識はなく、何とかして紹介してもらい、今回の研修会となりました。
 不妊症と言えば、いつも女性目線で描かれたものが多く、男性が主体となるものはあまり耳にしたことがありませんでした。そこで、伊佐治先生の男性不妊に対する観点に興味をそそられました。私も10年間子どもが出来なかったので、今回の話は目から鱗の内容ばかりでした。是非、山口知先生の研修会レポートをご一読いただき、少しでもご理解いただけたら幸いです。
(大阪府鍼灸師会研修委員長 清藤直人)


【日時】令和6年11月10日(日) 13:30~16:45 学術講習会(ハイブリッド開催)
【演題】学術講習会(ハイブリッド開催・アーカイブあり)
 ・学術講習会(ハイブリッド開催・アーカイブあり)
 「男性不妊症の基礎知識」
  講師:伊佐治 景悠 先生(SR鍼灸グループ 総院長)
 「鍼灸治療の直後と反復による効果の違い」(実技供覧)
  講師:伊佐治 景悠 先生(SR鍼灸グループ 総院長)
【会場】大阪府鍼灸師会館 3階 WEB

(研修内容)
日本では5.5組に1組が不妊治療や不妊の検査を受けている。
昔は、原因は女性側に注目されていたが、WHOの調査によると不妊治療の割合は
女性のみの原因…41%
男性のみが原因…24%
男女ともに原因…24%   つまり男性側の原因も多い。
これからの時代は『夫婦ともに診る治療』が大切と考えられる。

【男性側の原因は大きく3つある】
① 造成機能障害…精子がつくれない(原因不明が圧倒的に多い)
② 性機能障害…EDや射精できない
③ 精路通過障害…精子の道が閉塞されている
それぞれの原因について診断を受ければOPや投薬で改善できる。
受診する事は恥ずかしい事ではない、巷の情報に左右されず、きちんと病院で検査するのが望ましい。また、泌尿器科と婦人科で基準となる数値が異なることも頭にいれておく。

【精子の基礎知識】
・精子は毎日作られているが、精子ができるまで74日(約3ヶ月)かかる。
・精子は熱に弱い。そのため精巣は唯一体の外に出ている臓器。
インフルエンザ、コロナなどにより高熱がでると精子は死んでしまう。そこから造成するのに約3ヶ月かかる。つまり女性でいう3周期は治療しても妊娠率が下がっている状態。
手洗い、うがいなど日々の生活から意識することが大切である。

【夫婦生活のタイミング】
精子は2、3日生きるといわれているが、卵子は受精しないと死んでしまう。
つまり排卵の5日前くらいから3日以上タイミングをとるとよい。必ず排卵前に行うこと。近年では、排卵チェッカーも薬局で販売されており、病院に行かなくても簡単に自分で調べることが可能となった。

【いい精子とは】
禁欲しすぎず、リラックスした状態、高い興奮状態で射精すると精子に気持ちがのる!

【鍼灸治療】


・鼠径部への鍼通電刺激
ディスポーザブル鍼(直径0.20㎜、長さ40㎜)を左右の鼠径部(精巣の支配神経領域)に刺入する。刺激頻度は10Hz、刺激時間は10min、刺激強度は痛みの起こらない最大強度。
通院期間:週に1回の頻度で3ヶ月(精子がつくられる期間)
考察→鍼通電刺激により交感神経活動の亢進が起き、精巣の血管収縮力が向上し、精巣の血液循環が上昇すると考えられる。

・中髎穴の骨膜刺激
ステンレス製毫鍼(0.30㎜、60㎜)を仙骨部(第3後仙骨孔直上)から頭側方向へ仙骨に沿わすように刺入し、10分間の徒手刺激をおこなう。
考察→副交感神経活動の亢進が起き、血管が拡張され、精巣の血液流入量が増加すると考えられる。



(感想)
私も不妊治療をしていたので大変興味深い内容でした。
少しずつ男性不妊についても聞くようになりましたが、まだまだ浸透していません。
海外では、夫婦生活は愛情表現の一つとされているのに対し、日本では妊活の一つとされ義務的意識が大きいようです。近年では働く女性も多いので、疲れているからしたくない、時間がない、するなら早く寝たい、という言葉もよく耳にします。夫婦生活は癒しではなく、むしろ罰ゲーム感覚。時代の流れも大きく影響していますが、結婚前を思い出してみよう!お互い思い合い、尊重した気持ちがあり幸せいっぱいでした。その時のセックスは満たされたものだったと思います。『結婚すれば子供ができる』といのは当たり前ではなくなった今、お互いを見つめ、思い合ういい機会かもしれません。妊娠は一人ではできません。女性だけが病院へ行けばいいわけでもありません。痛い検査、飲みたくない薬、注射、周期に振り回される生活、生理が来た時の悲しさ、性格がどんどん悪くなっていく感覚……すべて女性にだけにストレスを与えていませんか?仕事だから無理、恥ずかしいから病院へいきたくない、その一言で女性は絶望を覚えます。無関心ほどの暴力はありません。男性が検査を受けるだけで女性の無駄な検査や治療が省かれることもあります。男性も女性も日々の何気ない暮らしが夫婦生活に影響することを理解してほしいと思います。気持ちの乗らないセックスの妊娠率は低いと言います。まずはお互いが満たされる環境づくり、心から「ありがとう」と言い合えるところからはじめませんか。

以上

(大阪府鍼灸師会研修委員 山口 知)

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