報告令和6年度9月度学術講習会NEW
令和6年度9月度学術講習会開催にあたり
今期の学術研修も大詰めを迎えました。鍼灸業界にはかかせない人気のある美容鍼を毎回取り入れるようにしています。しかし、もうすでにそうそうたる先生達をお呼びしている本会の研修で、いったい誰をお招きすれば良いのか、私には美容関係の知り合いがいないので、この度セイリンさんに相談し折橋梢恵先生を紹介していただきました。
お会いするまでは雲の上の存在の先生だったので、大変緊張しましたが、会った瞬間、「大阪の匂いがする」先生だと直感しました。思った通り、主催者の気持ちがわかるようなセミナー運び、時間の調整から、実技の時間はたっぷり惜しみもなく技術を披露してくださいました。私の中で美容鍼灸は敷居が高いと感じていましたが、折橋先生は、そんな流派の垣根を越えて、大変フレンドリーに接してくださいました。こんな私もますます美容鍼の虜になりそうな今回の研修でした。
さて、来年はどうしたものかと頭を悩ますところでしたが、もうすでに交渉が成立してますので来期もご期待ください。
つづいて、今井亜里紗先生に研修会レポートをまとめていただきましたので、ご一読ください。
(大阪府鍼灸師会研修委員長 清藤直人)
【日時】令和6年9月8日(日) 13:30~16:45 学術講習会(ハイブリッド開催)
【演題】学術講習会(ハイブリッド開催・アーカイブあり)
「美顔に対する美容鍼」
「美顔に対する美容鍼 実技編」(実技供覧)
講師:折橋 梢恵(美容鍼灸の会 美真会 代表)
【会場】大阪府鍼灸師会館 3階
まず鍼灸の歴史の中で美容鍼灸がどのように広まって行ったかの説明があり、今現在の美容鍼灸の人気や流行の理由について紐解いていただいた。様々な方法で店舗メニューとして美容鍼灸が取り入れられている。折橋式総合美容鍼灸は美顔、美髪、痩身、美肌、美姿勢のためのはり、刺さないはり、高齢者に向けてのはりを取り入れている。折橋先生は幅広い「美」に対して鍼灸を行われており、顔だけでなく全身の調節を同時に行うことで顔や身体の美につなげている。西洋医学にはない鍼灸ならではの考え方である。本日は「美身鍼」について、心と身体の両方を整えることが重要であることを具体的にお話して頂いた。
ベースは中医学に基づく鍼灸治療である。エステティック、アロマテラピー、栄養学を含めて美身鍼を行い、一つにこだわらずにいいものを積極的に取り入れた結果、総合的に施術を行っていくことにつながっている。折橋先生が美容鍼を始めた当初の接客技術の大事さを痛感した体験も話していただき、丁寧な接客についてのお話もとても興味深かった。寒い時期の配慮、飲み物、患者さんへの丁寧な対応をエステティシャンは勉強しており、鍼灸師では考慮していない点が多々あり、この細かい点が大きな差を生むというのも印象的であった。鍼灸はたくさんの可能性があるのに受診率が少ないので実際に効果を出せる鍼灸師を増やしてもっと口コミから鍼灸の良さを伝えてほしいとのお言葉から折橋先生の熱意が伝わってきた。
美容鍼灸の施術の中でも即効性が高いのはリフトアップである。患者さん自身がたるみのどこが気になるかを聞くことが大事であり、施術前と施術後の変化を実感してもらうことが必要になってくる。特に初診時に効果を実感してもらえるかでリピートに繋がるかが決まる。料金よりも中身が大事であり、患者さんに満足していただき、体感していただく事が必要不可欠となる。実感が湧きやすいのは目の開き具合、視野の広がり方などで、施術後に目の開き方どうですかなどお伺いし、施術後に患者さん自身が変化を確認してもらい、美容の効果につながっていることを事細かにお伝えすることが大事である。
中医学的観点からみるたるみは脾と肝の機能低下によるものである。患者さんの体質などを考慮して全身の調整を行うことで顔と全身の美に繋がる。そして患者さんの生活の中で気を付けていただく食事などのアドバイスについては患者さんが絶対にできない理想論を伝えるのではなくて、患者さんの生活リズムを考慮して、できることを一緒に考えることが重要である。
実技では実際の施術について丁寧に1穴ずつツボの取り方を説明して頂いた。鍼施術以外のタオルワークの工夫や、施術の順番、押し手、抜鍼など患者さん一人一人への満足感へつながる配慮についても実際の現場での出来事と絡めてお話いただいた。美容鍼灸は広まりつつあるが、顔に鍼を刺すということに抵抗がある鍼灸師もまだまだいる。折橋先生のリスク管理の方法、ツボの選び方など患者さんにしっかり向き合ってその方に合わせて丁寧に接することで信頼関係につながり、美容鍼灸のファンが増えている結果だと実感した。
(大阪府鍼灸師会研修委員 今井亜里紗)