研修会&講座のお知らせ
報告理事・監事・地域代表者 一泊研修会報告
7月29日(土)・30日(日)、京都の聖護院御殿荘にて理事・監事・地域代表者一泊研修会研修会が行われました。伝統的な建築と整備された庭園のある落ち着いた雰囲気の中、明治国際医療大学名誉学長である矢野忠先生をお招きして、未来型の鍼灸医療についてお話をしていただきました。
今年度の理事・監事・地域代表者 一泊研修会では、明治国際医療大学鍼灸学部客員教授の矢野忠先生に「未来型伝統医療への挑戦」というテーマでご講演をいただきました。
我が国の人口構造の変容は、医療費、介護費、年金などの社会保障費に大きく影響を及ぼしています。生産年齢人口は今後も減少する見通しであり、女性や高齢者の社会進出を促す必要があるとも言われています。
現在の医療が抱えている課題として、高齢者、労働者、働く女性の健康を取り上げ、お話しいただきました。
超高齢社会における高齢者の健康
高齢者の多くはマルチモビディティ(multi-morbidity:他疾患併存状態)であり、多剤服用が問題視されている。鍼灸においても、多くのツボを使用してのオーバードーゼに注意すること、また鍼灸施術と共にフレイルやロコモ予防への対応をすることがIADL(手段的日常生活動作)の向上に効果的である。
生産労働者減少時代の労働者の健康と経済的損失
プレゼンティーイズム(健康問題を持ちながら出勤している状態)は、日本企業における健康関連総コストの77.9%を占めている。経済損失をもたらす健康障害と言われている疲労、睡眠不足、目の疲れ、うつ、慢性痛、月経などの体調不良は、まさに鍼灸施術の対象となる症状である。
働く女性の健康
女性の年齢階級別労働率は、1970年代後半から1990年代後半にかけては25歳~34歳に低くなる傾向にあった。しかし2018年頃からは、欧米と同様にその年齢階級での働く女性が増加し、成熟期、更年期における女性の健康問題に対する経済損失は大きいと報告されている。また、普段から健康意識の高い女性ほど仕事でのパフォーマンスが高いという報告もあり、鍼灸施術での症状の軽減と共に、健康や予防への意識づけが効果的である。
健康維持・増進、予防、未病治が求められている。欧米では早くから病気になる前に健康づくりに取り組むヘルスケアの市場が活発になっており、日本国内においても今後さらにマーケットは拡大することが予測される。施術所における鍼灸施術だけではなく、地域活動や社会参加し、鍼灸師が積極的に地域住民や他職種との関わりを持ち、国民の健康をプロデュースすることが重要である。
以上、日本の我が国の社会問題と鍼灸師の取り組みについてご講演いただきました。
ありがとうございました。
(法人管理 庶務 吉野亮子)