公益社団法人 大阪府鍼灸師会

研修会&講座のお知らせ

令和3年度第4回学術講習会報告

「心と自律神経のトリートメント」


講師:学校法人呉竹学園 臨床教育研究センター Manager 船水 隆広先生
日時: 令和3年11月14日(日)
会場: 大阪府鍼灸師会館

「心と自律神経のトリートメント」について登壇していただいた。
日本の精神医療を利用している人は、400 万人以上と言われており、日本人は世界的に精神的不安定の人が多いのが問題視されている。
船水先生は多くの精神的な疾患が救うために自律神経の治療を鍼灸でされており、全国各地や世界まで治療の仕方など講義をされている。
100人に3~4人はうつ病の可能性があると言われており、10年間で1.5倍増え続けているのが現状である。
自殺する人の年齢別で見ると、25~34歳が死因1位と言われている。
それは一番抱え込みやすい歳で、吐き出したいのに誰にも吐き出せなく自殺に陥ってしまう。

船水先生いわく「身体の治療が心に響く」と仰っている。
心には鍼は打てないが、体と心は繋がっている。そのアプローチ出来るのは、鍼灸師の私たちである。
自律神経治療していて注意しないといけないことがある。
最悪期には自殺する元気はないが、治りかけが自殺するくらいの元気が出てくるので危ない。
その対応としては、心身の休養が大切、励まさない、気晴らしを進めない、大切な決定は先延ばしにするといったことが大切になる。

東洋医学的に考えると、陰陽のバランスが大事で、どちらかが多すぎるのはバランスが崩れる。
陰主陽従という言葉がある。それは、陰が主で陽はそれに従うということ。
つまり、陰(休憩や睡眠)が陽(活動)をすることを支えるということである。
それが出来るのが、私たち鍼灸師である。
体をリラックスにしてあげ、睡眠の質を高めてあげるために鍼灸がある。活動をするために体を元気にしてあげるのも鍼灸師が得意としているところである。
私たち鍼灸師は、400 万人以上の精神症状を救える人達なのだ。だからこそ、東洋医学という素晴らしものを知っていただくために、勉強や発信をしていかないといけないのだ。

研修委員 藤下知修

「心と自律神経のトリートメント・実技編」
(実技供覧)



先ず、船水先生の使用しておられる数種類の鍉鍼の説明が有り、本日は棒状のさざなみ鍉鍼での実技でした。以下参照
棒状のさざなみ鍉鍼での実技(外部サイトへリンクします)
一人目患者モデルは 20 代前半♂学生
治療は、①仰臥位腹部、下肢→②伏臥位背部→③仰臥位で鎖骨より上部(顔面を含む)
先生は、鎖骨を境に陰陽をとらえ①を触診し、関元軟弱(腎虚)中脘部の縦に長い硬結をとらえストレスに耐えているとし先ず、中脘に ㋐円錐形の方(触っても痛くない様に丸みを帯びる)を接触し鍼体の重みのみで気を入れる。また鍼体にある溝を爪先で擦り刺激を与える。関元は同様に接触しながら ㋑刺し手の中指の腹の部分に鍼先を抱くようにし下から上に数回はらうようにして気を流す。神闕は敏感な患者を考慮し鍉鍼の丸い方を 20 秒置く。胸脇苦満には正中より外方へ季肋部に沿って数回はらう。

また第 11、12 肋骨辺りから腸骨稜にかけて㋐と㋑を交互に数回繰り返す。気が入り難い場合は㋐の状態で軽く打鍼する。胸骨部、膻中㋐、鎖骨周辺も㋐を施術で整える。
その後脈診し手足も触診しながら必要なツボに㋐。特にメンタルケアにとって内関は重要なので外せない。足も腎虚なので太谿に㋐、気が入り難ければ打鍼を加える。
全体に㋐のあとは㋑で気を流すことを忘れずに。
②を触診しその後左右それぞれの皮膚を両手の母子と示指で横向きに摘まんでは放す。
同様に膀胱経は縦に摘まんでは放すを繰り返し肩背部より腰迄硬結の有無を確認する。
治療は特に硬いところを触知したら㋐その他全体に硬い時は右手に鍉鍼を持ち皮膚接触、左手のひらではらう(散鍼)をランダムに反復する。

二人目モデルは 50 代後半♀
頭部及び顔右半分のみ美容鍼灸を含めての施術でした。
仰臥位で乳突筋を触診し完骨部から耳介後部付け根に沿って上の方へ移動しながら数か所に㋐の後㋑を数回ずつ施術。その後耳介部に有る神門に㋐。再度耳介後部に散鍼。その後胸鎖乳突筋部の前縁、後縁に上から下へ反復して散鍼しその後なでる様にして気を流す。硬さが残るようであれば乳突筋中央部を上から下へ接触鍼。
その後唾液分泌を促す意味で、廉泉辺りより下顎骨後縁を後方向へ㋐と㋑。その流れのままに耳介後部から耳の上を通り百会にかけて㋑を数回。次に下顎骨全面より耳門、聴宮、聴会辺を通り頭維、臨泣辺りまで散鍼、その後指先腹の部分で撫で上げる。

続いて口輪筋周囲散鍼と㋑、頬骨首位に㋐、㋑その後指先腹の部分で撫で上げる。
目の周囲、晴明、瞳子髎に㋐、頬骨下縁より下眼瞼また太陽、頭維穴に向け鍼体をねかせ、転がせながら数回擦上後眼輪筋散鍼。眉毛の部分も内から外へ㋐、全額部、側頭部も硬い部位をさがし㋐、㋑その後、指先腹の部分で撫で上げる。

以上になりますが、2例とも㋐、㋑の施術のあとは指先腹の部分で撫で気を流すことを忘れず、刺激をまったりさせることがポイントだった様に感じられました。

研修委員 中川 欣久

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