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第4回 府民公開講座報告[2014/10/14]
●9月23日(火・祝)秋晴れの中、第4回 府民公開講座が開催されました。府民公開講座では、新開省二先生による講座「粗食はやめよう」のほか、会員スタッフの協力のもと普及啓発委員会による「美容に関するはり体験」、「健康相談会」、「鍼灸院紹介」、「はり灸パネル展示」や「介護登録鍼灸師の実技“擦過鍼”体験」、「日本パルスさんによるおはりんDVDの紹介など」が催されました。
(写真上=大鍼会会長 得本 誠(左)、おはりん(中央)、新開 省二先生(右))
【講座報告】介護予防栄養学~粗食は止めよう~
講師:東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長 新開 省二
研究所は、日本の65歳以上の高齢者を対象に、長期(8~10年)調査研究を行いました。調査内容は、栄養、運動能力、検査(血液、骨密度、心電図、レントゲン)です。今回は、高齢者の陥りやすい粗食が、健康余命に影響することを、わかりやすくご講演いただきました。
A 高齢者の健康長寿に及ぼす要因
健康な高齢者も、経年で、病気や死亡する方が出てきます。健康長寿に及ぼす要因は何か。
①阻害要因~「睡眠時間が長い」「咀嚼力が落ちる」「過去1年間に入院をした」の割合が大きい。
②促進要因~「体力:筋力、バランス、歩行速度がある」「心理要因:健康度自己評価がよい」「生活習慣:仕事・社会活動が活発」の割合が大きい。
B 老化、疾病と生存率の関係
健康長寿に影響する二大要因である「老化」と「疾病」は、心身機能を低下させます。
では、これらを防ぐにはどうすればよいか。三つの柱:栄養・体力・社会から、柱の一つ、「栄養」を見てみます。生存率が低下する人、死亡の危険度が大きい人は、①血液検査の数値~血清アルブミン、総コレステロール、血中ヘモグロビンが低い。
②BMI(体格指数)が低い人、つまり、低体重の痩せている人。特に高齢者の男性で痩せている人は、死亡リスクが高い。
③低栄養状態の人は、一番に循環器病の死亡リスクが高まる。その他の肺炎、がんのリスクも高い。低栄養、痩せは、生存率を下げ、死亡の危険度が高まり、余命及び健康余命ともにリスク要因となります。血液検査の数値は、たんぱく質、脂質、鉄分をふくんだ食物を摂取する指標にもなります。
C 日本人は、何を食べたら、健康寿命によいのか
「これを食べたら長寿になるものは、ありません。多様な食品をバランスよくとることです。そして、栄養摂取には、咀嚼力を落とさないことです。」と、新開先生は優しく本質をお話になりました。
D 健康づくりの戦略
①中年期は、ストレス解消、食べ過ぎない、睡眠不足にならない、有酸素運動をする。
②高齢期は、社会参加、食事の量を落とさない、肉・魚・卵の摂取不足にならない、筋トレ(散歩も含む)をする。
糖質制限、食事のインターバルと量、水分摂取、食べ方などの質問も多く出ました。生きていくための栄養摂取は、多くの方が興味をお持ちです。高齢期は、粗食にならないように、心掛けたいです。感謝。
(研修委員 井尻 志郎 )