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研修会&講座のお知らせ

令和元年9月8日 第3回学術講習会報告「消化器疾患―IBD・IBDを中心に」2019.11.01


 
令和元年9月8日 第3回学術講習会 1講目
  『消化器疾患―IBD・IBDを中心に』 むらのクリニック院長 村野 実之
 
消化器疾患は、内視鏡による診療が有効であり、内視鏡受診者の年代は、30代から50代が中心で、30代が16%、40代が35%、50代が28%で合計79%となっている。男女別では、男性が49,7%、女性が45,7%とほぼ同じ割合で大差が見られない。
大腸ガンについては、男性が3位、女性が2位、全体では1位で2位胃ガン、3位肺ガンより多くなっている。大腸ガンを早期発見、早期治療することで、阪神の原口選手は発見から約4か月で実戦復帰している。ポリープ(腺腫)の大きさとガン化率を見ると、ポリープが大きくなるとガン化率も高くなっている。そのためポリープが小さい間に処置するのが良い。処置法としては、内視鏡的粘膜切除術が有効である。
大腸内視鏡の対象は、検診で便潜血陽性、大腸ポリープの既往歴、親族に大腸ガンの方がいる。症状で血便や粘液が出る、下痢や便秘などの便通異常が出現する、などに当てはまる場合は、早期発見・早期治療のために、大腸内視鏡など精密検査が必要である。
過敏性腸症候群(IBS)については、生活習慣、環境因子、消化器機能、食事栄養などが要因で、日本人の食生活の変化などが影響していると考えられる。IBSの有病率と病型は、日本の有病率は13.1%で、そのうち下痢型29%、便秘型24%、混合型47%で、男性は下痢型、女性は便秘型が多い。年齢別では若年層(20~30才代)に多く、加齢とともに減少する。IBSと併存が多い主な疾患には精神科疾患や消化管疾患などの身体的疾患がある。精神科疾患には、パニック障害・身体化障害・うつ病など、消化管疾患には、GERD、FDなどがある。IBSに対する治療は、下痢型にはイリボーや半夏瀉心湯が、便秘型には酸化Mgやリナクロチドが有用である。
炎症性腸疾患(IBD)の患者数としては近年、潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)が急増している。消化器疾患の中でも、潰瘍性大腸炎(UC)の増加が他の疾患に比べて多くなっている。潰瘍性大腸炎(UC)については、1970年頃からのファストフードの出現など、食の欧米化により急増したと考えられる。病因としては、遺伝的素因に環境因子(食餌・感染・化学薬品等)が加わり免疫異常が起こり、発症、再燃、増悪するなどがある。罹患範囲(初診時)としては、直腸炎型16.8%、左側大腸炎型41.4%、全大腸炎型33.5%となっている。潰瘍性大腸炎(UC)の臨床経過には、再燃緩解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型がある。
最良の炎症性腸疾患(IBD)の治療とは、1確実な診断、2適切な治療、3適確な見極めが大切である。また患者に前向きに付き合っていくこと、患者の生活スタイルに合わせた治療法を選択すること、慢性疾患のため継続治療の必要性など、患者の理解を得ることも大切である。
消化器疾患を主訴として、鍼灸院に来院する患者さんは少ないと思いますが、基礎知識として大変有意義な講演であった。
(研修委員 中村 隆)