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素問

令和元年5月12日(日)素問勉強会 / 示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六第四章2019.08.01

素問勉強会

講師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

日時: 令和元年 6月 9日(日) 

会場: 大阪府鍼灸師会館 3階   出席者: 会員8名  一般10名  学生3名  

 

 

・医道の日本 2019年6月号 『臨床に活かす古典№85 霊枢』のお話より

南宋時代(1127~1279)、四川・成都(しせん・せいと)に住んでいた人、史崧(しすう)が自分の家にあった『九巻』のテキストをもとにして『霊枢』二十四巻という本を出した。これが現在伝わっている『霊枢』の親もとの本ということになる。

 

 

 

示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六

 

第四章

雷公(らいこう)曰く(いわく)、此に(ここに)於いて人有り。四支解墮(ししかいだ)し、喘血泄(ぜんがいけっせつ)す。而して(しかして)愚(ぐ)之れを(これを)診して(しんして)、以爲らく(おもえらく)、肺を傷ると(やぶると)。

脈を切するに(せっするに)浮大(ふだい)にして緊(きん)、愚(ぐ)敢えて(あえて)治せず(ちせず)。

粗工(そこう)、石(へんせき)を下して(くだして)、病愈ゆる(いゆる)ときに、多く血を出す。血止まりて身輕し(み かるし)。此れ(これ)何に者(なにもの)ぞや、と。

(訳文)

雷公は黄帝に尋ねた。

「こんな人がいました。手足に力が入らなくて、ひいひいと呼吸をする、ごほんごほんと咳をする。血の混じった大便。私はこれを診察して肺の傷害と考えた。脈が、浮・大・緊なので敢えて治療をしなかった。ところが二流の医者が(へんせき、実際は金属の鍼だっだかも?)を使ったら治った。たくさんの血が出て、それがとまった時に身が軽くなった。これはどうしたことでしょうか

 

 

帝(てい)曰く。子(し)能く(よく)治する(ちする)所、知ることも亦た(また)衆多(しゅうた)なり。

此の病と失えり(うしなえり)。

(訳文)

黄帝は言う。

「あなたは、経験もその知識も充分だが、この病に関しては診察を間違えている」

 

 

譬えるに(たとえるに)鴻(おおとり)の飛を以て(もって)せん。亦た(また)天に沖る(ひいる)。

 

 

夫れ(それ)聖人の病(やまい)を治するは、法に循い(したがい)、度を守り、物を援き(ひき)、類を比す(ひす)。化の冥冥(かのめいめい)たる、上(かみ)に循い、下(しも)に及ぶ。何ぞ(なんぞ)必ずしも經(けい)を守らん。

 

 

今夫れ(それ)脈浮大にして虚なる者は、是れ(これ)脾氣(ひき)の外に絶し、胃を去りて、外、陽明(ようめ

い)に歸する(きする)なり。

(訳文)

「脈が浮大にして虚のものは、脾が虚している。脾の気が、胃の気を支える。脾の気が虚しているために胃に対しても充分な影響を及ぼす事ができず、足の陽明経にも病状が及ぶのだ」

 

 

夫れ(それ)二火(にか)は三水(さんすい)に勝たず。是(ここ)を以て(もって)脈亂れて(みゃく みだれて)常無し(つねなし)。

(訳文)

「脾胃のバランスが崩れている為に、脈がみだれて常の部分がないのだ」

 

 

四支解墮(ししかいだ)するは、此れ脾精(ひせい)の行かざればなり。

(訳文)

「四支解墮、体が重いのは脾の精気がちゃんと巡っていないからだ」

 

 

(ぜんがい)は、是れ(これ)水氣(すいき)、陽明に并すればなり(へいすればなり)。

(訳文)

「せきが出るのは、水気が陽明に影響したせいだ」

 

 

血泄(けっせつ)する者は、脈急(みゃく きゅう)にして、血行く所無ければなり。

(訳文)

「血というものが経脈から外に出てしまうのは、脈があふれて制御できないからだ」

 

 

若し夫れ以て(もし それ もって)肺を傷ると(やぶると)爲る者(なるもの)は、失して以て(しっして もって)狂するに由るなり(よるなり)。比類を引かず、是れ知ること明かならざればなり(あきらかならざればなり)。

 

 

夫れ(それ)肺を傷る者は、脾氣(ひき)守らず、胃氣(いき)清からず、經氣(けいき)、使(し)と爲らず(ならず)、眞藏壊決(しんぞうかいけつ)し、經脈傍絶(けいみゃくぼうぜつ)し、五藏漏泄(ごぞうろうせつ)し、衄せざれば(じくせざれば)則ち(すなわち)嘔す(おうす)。此の二の者は、相類(あいるい)せざるなり。

(訳文)

「肺を傷った場合は、影響が脾の支配領域にある胃にも影響を及ぼす。胃の支配領域の胃の気にも影響が及んで食物を栄養分として巡らせる事ができない。充分に経脈に向かって気が流れない。肺が故障し、経脈の気も絶え、五蔵の気も脱する。陰が虚して、虚熱が出た状態になり、鼻血が出るか、そうでなければ口から吐くこともある。肺を傷った時のやまいの機序というものは、脾を傷った時の状態とは違うのである」

 

 

(八月特別講義のお知らせ) 恒例の 八月特別講義は『脈法手引草(みゃくほうてびきぐさ)の研究』をテーマとして篠原先生にご講演いただく予定です。(場所と時間は通常の「素問勉強会」のとおりです)

 

(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)