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素問

令和元年5月12日(日)素問勉強会 / 示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六第二章(第二對話)2019.06.28

素問勉強会
● 日時:令和元年5月12日(日)  ● 会 場:大阪府鍼灸師会館 3階 
● 講師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生
 
●医道の日本 2019年5月号 『臨床に活かす古典№84 素問』のお話より
 
『素問(そもん)』のテキストというのは、唐の時代(618~907)の762年に完成した。王冰(おうひょう)というひとが注をつけたテキストが一番古いものである。王冰の注と編集というものがなければ現在のテキストはない。
 この『素問』のテキストは「王冰次注本(おうひょうじちゅうぼん)」と呼ばれている。
 
示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六第二章(第二對話)
 帝(てい)曰く(いわく)、子(し)、別ち(わかち)試み(こころみ)、五藏(ごぞう)の過(とが)、六府(ろっぷ)の和せざる(わせざる)所、鍼石(しんせき)の敗(はい)、毒藥(どくやく)の宜しき(よろしき)所、湯液(とうえき)の滋味(じみ)に通ぜば、具に(つぶさに)其の(その)状(じょう)を言え。悉く(ことごとく)言わば以て(もって)對えよ(こたえよ)。知らざるを請い問え、と。
(訳文)
 帝は言った。「五藏六府の病気をしているところ、鍼を刺したときのあやまり、毒薬(劇薬)の適応したさま、薬物の内容に通じているのであれば、詳細にその内容を言え。ことばでちゃんと答えよ。知らないことがあるならば、わたしに聴け」
 雷公(らいこう)曰く、肝虚(かんきょ)、腎虚(じんきょ)、脾虚(ひきょ)、皆な(みな)人をして體(からだ)重く煩寃(はんえん)せしめて、當に(まさに)毒藥、刺灸(しきゅう)、砭石(へんせき)、湯液(とうえき)を投ずべし。或いは(あるいは)已え(いえ)、或いは已えず。願わくば其の解を聞かん、と。
(訳文)
 雷公は言う。
「肝虚、腎虚、脾虚の場合、まずからだが、だるくなって胸苦しい状態になります。そのときに、毒薬、刺灸、砭石、湯液など色々な治療を行いますが、治るときもあれば治らないときもある。それは何故なのか、お聞かせください」
 
 帝曰く、公(こう)、何ぞ年の長じて(ちょうじて)、問うことの少きや(わかきや)。余(よ)、眞に(まことに)問うて以て(もって)自ら謬まる(あやまる)。
(訳文)
 帝は言う。
「あなたはいい年をして、どうしてそんなに幼いことを問うのか。わたしは真剣にあなたの知るところを言ってみよと言ったけれども、こんなおろかしいことを言うのであれば、わたしの問いかけたこと、そのものがまちがいであった」
 
 吾れ(われ)子(し)に窈冥(ようめい)を問う。子、上下篇を言いて以て對える(こたえる)は、何ぞや。
(訳文)
「わたしは、あなたに非常に深淵な理論というものを聞きたいとおもって訊いたのだ。しかしながらあなたが出してきた答えというのは『脈經』上下篇という本で答えるだけの浅いものだった。どうしたことだ」
 
 夫れ(それ)脾虚は浮にして肺に似たり。腎は小浮にして脾に似たり。肝は急沈散(きゅう・ちん・さん)にして腎に似たり。此れ(これ)皆な(みな)工(こう)の時に亂る(みだる)所なり。然して(しかして)從容(しょうよう)、之れ(これ)を得ん(えん)。
(訳文)
「さてさて、そのひとつひとつについて、言っている言葉を、わたしなりに解釈してみようか。脾の蔵が虚した場合には、脈が浮いて、肺の毛脈(浮いて細い脈)に類似してくる。腎の蔵が虚した場合は、脈がちょっと浮いてくる。腎の脈は普通沈んでいるが、腎が虚すと、それが真ん中ぐらいの深さまで浮いてきて脾の脈に類似してくる。肝の脈は普通弦脈である。沈んでいてどちらかといえば、少し弱い脈である。肝の蔵が虚した場合には、急・沈・散の脈となり、腎の脈に似てくる。ほかの脈状と類似した、こういう事があるので弁別がむつかしく、医者というものが、よく誤りやすいところである。しかし、從容(しょうよう)という態度さえあれば (または從容という本があれば)これを得ることができる」
 
 夫の(その)三藏(さんぞう)の若きは(ごときは)、土木水(ど・もく・すい)參わり(まじわり)居る(おる)。此れ童子の知る所、之れを問うは何ぞや、と。
(訳文)
「さて、三蔵の脾、肝、腎というものは五行でいうと、土、木、水の三つである。からだの下のほうに一緒にある臓器である。これは小さな子供だって知っていることだ。これをわざわざ訊くというのはどういう理由なのだ」
 
『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。
『素問』はまだしばらく続きます。そして、『素問』から『霊枢』に切れ間なくつづきます。
 恒例の 八月特別講義は『脈法手引草(みゃくほうてびきぐさ)の研究』をテーマとして篠原先生にご講演いただく予定です。(場所と時間は通常の「素問勉強会」のとおりです)
 
(素問勉強会世話人 東大阪地域 松本政己)