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研修会&講座のお知らせ

平成30年度 第6回学術講習会報告①「鍼灸師の気韻生動」- 鍼灸師は芸術家2019.04.24

■日時:平成31年3月10日

【講演1】「鍼灸師の気韻生動」-鍼灸師は芸術家
 講師 鍼灸 Meridian烏丸 院長 中根 一 先生

 何かの正解があるわけでなく、みんなで考えてみんなで未来に向かって一歩を踏み出そうというアクションです。

 
 受講者にアンケートが配布され、どういう方なのか、何を望んでいるのか、何に困っているかわからないまま講義を一方的に話してしまうと有意義だったのかわからない。そこで鍼灸臨床の上では当たり前の話で、自分が思っている治療とクライアントが望んでいる治療が違うケースがある。受講者は何を望んでいるのかを伺うためにアンケートを実施された。その中から共有できる話、あるいは個人的な印象的な話を皆で語りながら講義を進行された。

 鍼灸院に来る患者さんは、鍼と灸によって問題解決するために来院されるだけでなく、先生に話を聞いて欲しいために来られていることもある。患者という字は、心が串刺しされている人、病は疾患や疾病を持っている人を言う。訴えのある人は、自分の不平や不満や苦しみを言葉にして相手に伝え、それを理解して解決してもらうことを望んでいる。鍼灸臨床する上で、本当に鍼で問題解決することが必要なのか、鍼灸師である私達が問題解決するための糸口なのか分からない。臨床上の経験で、全員が患者と言っていいか分からないため、まずはクライアント(有訴者)と言うようにしている。講習会などで患者さんがと表現したときにケースが違うはずで、僕たちと鍼灸と言ったときに、鍼灸が手技なのか、研究対象なのか、生きるための糧なのか、生きがいなのか、社会貢献のひとつなのかわからない実感であった。

 
アンケートの質問事項

 ■鍼灸師になる前は、何をしていましたか?
 ■自身の鍼灸院の治療理念の特徴を一言で表すとどうでしょう。
 ■鍼灸師を志すきっかけ
 ■ご自身の鍼灸院の特徴や理念
 ■どのような鍼灸師像を、目標としていますか?
 ■今抱えている不安は、どんなことですか?

 

 気韻生動とは、水墨画の描き方で中国南斉の画家、謝赫(しゃかく)が6つ示している。謝赫がいうには、気韻生動ができる人は突然基礎がなくても現れる。これは技能にあたる。文章化や共有することができない。技術は共有できる。これは学校で学ぶことや講習会で学ぶことができ文章化や共有できる。藝をみがいて気韻生動、自分しかできない何かを達成するためにはどうしたらいいかというと、アニメの亀仙人が、「よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べ、よく寝る。」藝は、よく動き、よく学べば備わると言う。これは師匠に、よく遊びなさいと言われた。それは、見学や勉強のために同じ場所に留まらずにいつもと違う所に行く。例えば旅行する。遊学するという意味でした。技能を育てる上で大切なことは「遊ぶ」ことである。

 
「画の六法(りくほう)」を鍼灸と重ね解釈すると以下のようになる。

 気韻生動:迫真的な気品を感じ取ることが可能であること。脈が整い、笑顔がこぼれる鍼灸。
 骨法用筆:明確な描線で対象を的確にあらわすこと。鍼と灸の技術研鑽すること。
 応物象形:対象の形体を的確にあらわすこと。治療方針(証)をたてること。
 随類賦彩:対象の色彩を的確にあらわすこと。寒熱・補瀉を整えること。
 経営位置:画面の構成。陰陽五行・気血津液を整えること。
 伝移模写:古画を模写すること。伝統的な鍼灸を学ぶこと。

 
 昭和時代は、物事を医療も含めて、標準化して提供する側の手間が省け利益があるような品質化をした。そもそも鍼灸は、標準化が難しくエビデンスもとても難しい。「科学的根拠と対話」で科学的根拠を使って、対話してプレゼンテーションして、結果が出ているのでこの方法でやりましょうというのが私達の仕事です。かえると「因果関係と相関関係」と言える。因果関係は例えば、熱湯をかけるとやけどする。直接な原因が直接な結果を導くのが因果関係です。相関関係は例えば、猫が顔を洗えば雨が降る。他にも要素がたくさん関わっているのに、そういう傾向にあるというのが相関関係です。因果関係は相関関係の中にある。鍼灸師あるいは臨床をしている人は、【相関関係】肝虚症は、長男・長女に多く見られる傾向にある。とか、A型の子は頑張り屋さんらしいよ。これって因果関係はないですけどそういう傾向があるのですよ。このように患者さんに語れて納得して安心してもらうのが私達の仕事です。
 例えば、ヘルニアは、器質的には治療はできませんが痛みを止めることができます。ヘルニアは治りませんけど痛みは止まります。「人は、納得する理由を探している」これでは患者さんが納得できない。これでは病院と同じで、病院で見てもらえなかったものを私達がしっかり引き受ける腹を決めないと病院と同じことをやっていると思われてしまう。患者さんには、病院と鍼灸院と二つの選択肢ができる。

 
 今日は、要素分解しましょうと話しましたが、なぜ自分は鍼と灸をやっていて鍼と灸って何だろうか、もし鍼と灸以外で同じ効果をだすのは他に何があるのだろうか。これをゆっくり考えることは鍼灸師の教養を豊かにする時間だろうと思う。机の前にかじるだけが教育ではなくて、いろいろな経験をして、いろいろ討論して、いろいろな考えが世の中にあると知った中で、あなたは何を選択しますかと言うことを考えて、その末に東洋医学や鍼灸医療が成り立つと思う。無駄を排除せず、無駄を享受し、個性を享受し、対応性を享受すれば、この業界はもっと花開くことになる。


(研修委員 松岡輝人)