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研修会&講座のお知らせ

平成30年度 第5回学術講習会報告②「眼精疲労の中医弁証と鍼灸治療」2019.02.23


 
■日時:平成31年1月20日

【講演2】「眼精疲労の中医弁証と鍼灸治療」
 森ノ宮医療学園教員・附属みどりの風鍼灸室 于思 先生

 目が疲れる、物が見えにくいなどの訴えがあって器質的な疾患のないものを「眼精疲労」と呼ぶ。随伴症状として、頭痛・肩こり・イライラ・抑うつ・悪心・嘔吐などを訴えることもある。近年では若年層がスマホに依存し過ぎて目を酷使したものを「スマホ老眼」と呼ぶ。片眼の斜位が見られることもある。眼精疲労は、疾患になる前段階の「未病」や「半健康状態」として現れる確率が高いので、中医学的診断「弁証」が有効となる。ただし、現代医学的診断としての「弁病」を念頭において重症の眼疾患を診断すべきタイミングを逃さないことが肝要となる。

 中医学では、目は五臓六腑すべてにつながっていると考え、特に「肝」との関係は密接である。肝は血を蔵し、疏泄をつかさどり、その経脈は目を巡っている。目を使用すると、目の栄養源である「陰血」が消耗される。目を長時間酷使すると肝血が過度に消耗されるので、肝の陰血が行きわたらなくなる。自律神経の機能調整が不安定になった時は肝が関係して目に現れやすい。精を蔵し血を化成する腎精の働きが低下すると肝血不足という病理になる。また肝は筋をつかさどるので、夜の筋肉トレーニングは、肝血不足を招きやすい。加齢や房事過多のために腎陰や肝陰の不足する一方、肝陽が高ぶると目の閉塞を招きやすい。

 眼精疲労の中医弁証は、虚証タイプでは「肝血虚」「肝腎陰虚」「心脾両虚」「気陰両虚」に、実証または虚実夾雑証タイプでは「肝気鬱血」「肝火上炎」「肝陽上亢」に分類される。【配穴】治療穴の共通配穴としては、瞳子髎(糸竹空)または太陽、攅竹(睛明)、合谷を使う。合谷は、虚中の実のある側のみを使用する。隋証配穴とその症状所見は以下のとおりである。


1 肝血虚:疲れ目、睡眠が浅い、血色がわるい等、舌淡、脈細
【配穴】太衝、三陰交、肝兪、膈兪

2 肝腎陰虚:疲れ目、ドライアイ、軽い充血、下肢のだるさなど、舌紅、脈弦細数
【配穴】太衝、肝兪、復溜、腎兪

3 心脾両虚:倦怠、疲れやすい、腹脹、泥状便など、舌淡、脈細弱
【配穴】神門、心兪、膈兪、脾兪、太白、足三里、三陰交

4 気陰両虚:疲れやすい、自汗、動悸+肝腎陰虚の症状所見、舌淡または紅苔少、脈細無力
【配穴】神門、膈兪、太白、足三里、三陰交、太衝、肝兪、腎兪、復溜

5 肝気鬱血:イライラ、怒りっぽい、抑うつ、胸脇苦満、疲れ目、梅核気、少腹部腹痛、舌紅、脈弦
【配穴】太衝、陽陵泉、三陰交、足三里、期門、内関、光明

6 肝火上炎:疲れ目、目の充血、頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、舌紅、苔黄、脈弦数
【配穴】行間、陽陵泉、攅竹、聴会、翳風、風池、百会、光明

7 肝陽上亢:怒りっぽい、不眠、目の疲れ、目の充血、頭痛、健忘、足腰がだるい、舌紅、脈弦細数
【配穴】肝兪、復溜、腎兪、太衝、風池、百会、光明

 以上の講義に加え、実技披露もしていただき、受講者にとっては臨床のヒントになったと思います。   

[研修委員会 三木完二]