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研修会&講座のお知らせ

平成30年度 第5回学術講習会報告①眼科領域の疾患〈IT眼症 スマホ老眼を中心に〉2019.02.23


 
■日時:平成31年1月20日

【講演1】眼科領域の疾患〈IT眼症 スマホ老眼を中心に〉
 日本眼科医会常任理事 今本量久 先生

 眼の機能としては、カメラの機能と同様に視覚の成立がある。水晶体と毛様体筋の働きにより、遠近調節することで像が結ばれ見えるのである。見え方には、正視・近視・遠視・乱視がある。近視・遠視は屈折異常によって起こる現象である。

 近視の原因としては、遺伝因子と環境因子がある。遺伝因子には家族的要因や地域的要因(東洋人、特に日本人に多い)がある。環境因子には田舎より都市部の子どもや近くを見る時間が長い・姿勢が悪い・見えすぎる眼鏡などがある。また時代の流行にも影響されることがある。近視を進行させる要因としては、近すぎる読書距離・読書姿勢の悪さ・見えすぎる(過矯正)の眼鏡などがある。近視の矯正は凹レンズやコンタクトレンズを使うことで網膜に像を結ぶようにしている。

 疲れ目と眼精疲労の違いについて、疲れ目は一時的な目の疲労で休養して回復する。
 眼精疲労は何時間も何日も目を酷使し休養が取れないと、頭・首・腰の疲れが取れないなど身体の不調を来すものである。
 眼精疲労の原因には、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないなどの調節性眼精疲労。目のまわりの筋肉の疲れ・斜視・不同視・弱視などの筋肉性眼精疲労。パソコンやスマートフォンの過度な使用、近くを見続けることによるドライアイなどの症候性眼精疲労。心身症・うつ病・ストレスなどの精神性眼精疲労がある。目以外にも慢性疲労、自律神経失調症・更年期障害・副鼻腔炎、むち打ち症なども原因になることがある。

 ドライアイについて、定義として「ドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」とある。原因として加齢・ストレス・デジタル機器使用時間の増加などがあり、日本では2000万人(5人に1人)といわれている。

 IT眼症について、IT機器を長時間あるいは不適切に使用することによって生じる眼の病気およびその状態が誘導となって発症する全身症状である。症状としては眼の病気や全身症状がる。原因としては、目の酷使・休息不足で涙が蒸発しやすくなりドライアイを引き起こすことがある。子どもへの影響として、ドライアイ・首や目の緊張・他人とのコミュニケーション不足などがあげられる。

 スマホ老眼について、近距離のスマートフォンを見続けることで目の筋肉の緊張が続き、ピント機能がうまくいかなくなり遠くの物がぼやけて見える現象である。老眼との違いは、老眼は加齢によって、水晶体や毛様体筋がかたくなり近くの物が見えにくくなるものであるのに対して、スマホ老眼は近距離のスマホを見続けることで目の筋肉の緊張状態が続き、目の疲労によって老眼と同様にピント調節がうまくいかなくなるものである。目以外の不調として、肩こり、頭痛、全身の倦怠感などがある。スマホやタブレットの長時間使用により、10代の若者を中心に急性内斜視患者が増加している。

 緑内障について、日本人の失明原因の第一位が緑内障である。40歳以上の20人に1人が緑内障で9割の人が気づいていない(無症状)疾患であり、加齢によりその割合が増加している。両眼の視野が重なるので異常に気づきにくく、視野の欠損を自覚する頃にはかなり進行しており、視野異常が出た時には既に視神経の90%が死んでいる。
自覚症状が乏しいため、40歳を過ぎたら年に1度は人間ドックなど検診の受診が早期発見にもなるので大事である。

 カラコンについて、最近装着している人が多いが、1度装着すると止められなくなったり、衛生上の問題もあり失明に繋がることもあり、使用には十分注意することが必要である。


 眼の解剖学的なことから、鍼灸治療に拘わる大切な疾患について、詳しく講演頂き今後の鍼灸治療に役立てたいと思いました。

〔研修委員会  中村 隆〕