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平成30年5月素問勉強会(30年度)/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.06.26

●日時:平成30年5月13日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2018年5月号 『臨床に活かす古典№72 覆刻』のお話より

 古い本を読もうとしたら、ある程度古いものを読む。本人が書いたものがあれば良いが、そうはいかないので実際には一番古いテキストを使うというのが良い。しかし古いテキストはだれもが目にすることはできないので、その意味では写真版がなければいけない。
(*早稲田大学・国会図書館・京都大学富士川文庫・内閣文庫などのウェブサイトに写真版がある)
 
 良い本を知るには、
渋江抽斎・森枳園(もりきえん)の『経籍訪古志(けいせきほうこし)』や、
岡西為人(おかにしためと)著『宋以前医籍考(そういぜんいせきこう)』、
小曽戸洋・真柳誠著『漢方古典文献概説』(これはコピーでしか手に入らない)
がある。
 
 日本医書は小曽戸洋の『日本漢方典籍辞典』、中国・朝鮮・日本の鍼灸書は『臨床鍼灸古典全書』の解説部分、『鍼灸医学大辞典』の書籍の部分を見ればある程度わかる。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章
 
 故に(ゆえに)『大要(たいよう)』に曰く(いわく)、謹みて(つつしみて)病機を守りて、各々(おのおの)其の(その)屬(ぞく)を司る(つかさどる)。
 
(解説)
大要:
 張介賓(ちょうかいひん)は『大要』は古い書物の名であると言う。多紀元簡(たきげんかん)は『靈樞識(れいすうし)』において、本の篇名だと言っている。書名なのか篇名なのかは具体的には、よくわからない。
 
 謹みて:謹厳実直に
 守る:保守する。保つ。備えて守備する。
 
病機: 
 張介賓は、「病気というものが出てくるメカニズムをいう」
「病気のおおもと、虚実のあらわれをみんな含めて病機という」
と言う。
 
おのおの、その屬(ぞく)をつかさどる: 
 病を五蔵(肝・心・脾・肺・腎)や六氣(風・寒・暑・湿・燥・火)に分類する。
 
 方藥中は、こう言っている。
「五蔵によって病を分類する。諸風掉眩は、みな肝に属すとか、諸濕腫滿は、みな脾に属すとかいうのが病の五蔵分類である。六気によって病を分類する。諸暴強直は、みな風に属すとか、諸熱瞀瘈(しょねつぼうけい)は、みな火に属すとかというのが六気による病の分類である」
 
 
 有る者は之れを(これを)求め、無き者は之れを求む。盛んなる者は之れを責め、虚する(きょする)者は之れを責む。
 
(解説)
有る者:実証
無き者:虚証
 
これを求む: 
 張介賓は、虚とか実とかの根本をさぐることだと言う。方藥中は、求むとは追求あるいは探索のことだと言っている。
 
盛んなる・虚する
 方藥中は、盛んなるは実證、虚するは虚證だと言う。
 
責む:求むと同じ意味である
 
 
 必ず五勝(ごしょう)を先んじ(さきんじ)、其の血氣を踈し(そし)、其れをして調達せしめ、而して(しかして)和平を致すというは、此れ(これ)を謂う(いう)なり、と。
 
(解説)
五勝:『素問』寶命全形論篇(ほうめいぜんけいろんへん)第二十五に「五勝更立(五勝こもごも立つ)」とある。王冰(おうひょう)は、五行(木・火・土・金・水)の相剋(そうこく)のことをいうと言っている。「勝」というのは盛んになる時期のことだと言う。
 
 方藥中は、「五勝」というのは、五蔵の気の偏勝だと言う。「必ず五勝先んじ」という意味は、病機を分析する過程で、病を五蔵とか六気に分類する必要があるということと言う。
 また、続けて
「その後に虚実の分類をする必要がある。その上にはじめて、五行のどこがさかんで、どこがおとろえているか、いわゆる五行のアンバランスというものを考える必要がある」と、そういうふうな主張をしている。
 
其の血氣を疎し
 方藥中は、「疎はすなわち疎通なり。血気はすなわち人体の気血なり」、気血をよく通してやることだと言う。
 
調達
『黄帝内經詞典』を引くと、調和させ、幅広く、遠くまで到達させるという意味だと書いてある。
『黄帝内經大詞典』の「通暢(つうちょう)」というのが、意味としてはもっともわかりやすい。通りをよくしてやるという意味である。
 
而して和平を致す
 方藥中は、和平というのは正常な健康な状態だと言う。

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『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。
 いよいよ八月は年に一度の、特別講義です。今年のテーマは『脈論口訣(みゃくろんくけつ)の研究』についてです。

 篠原先生のコメントをご紹介します。

『脈論口訣』は江戸時代に最も広く流布した脈書であり、経絡治療創成期からよく読まれて、近年まで謄写版や影印本が何度も出ています。ただ、その位置づけや臨床的な読解はなかなか難しいように感じます。このたびはこれを考究して、少しでも理解が深まるようにしてみたいと思います。
 
(素問勉強会世話人 東大阪地域 松本政己)