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平成30年3月素問勉強会(29年度)/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.04.23

●日時:平成30年3月11日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2018年3月号 『臨床に活かす古典№70 文献その3』のお話より
 
 後漢時代(25~220年)に『明堂(めいどう)』という本があった。
 この本の内容は『甲乙經(こういつきょう)』と『外臺秘要方(げだいひようほう)』と『千金方(せんきんぽう)』という本に形がそのまま残っている(楊上善が注をつけた『明堂』の断簡、『素問』の王冰(おうひょう)注に引かれている「中誥(ちゅうこう)」にも残っている)。
 その後、これらを受けて『千金翼方(せんきんよくほう)』と『太平聖惠方(たいへいせいけいほう)』という本が出来る。これらは『明堂』と、それと異なるものとの中間的なものである。
『明堂』系とは異なるものでは、有名な『銅人腧穴鍼灸図経(どうじんしゅけつしんきゅうずけい)』が出される。部位よりも、むしろ主治症が大きく『明堂』と異なる。その後は、『聖濟總録(せいさいそうろく)』があって、『十四經發揮(じゅうしけいはっき)』になって現在にいたる。『明堂』の系統で日本のものでは、『醫心方(いしんぽう)巻第二』がある。日本で経穴学が決定的に確立したのは、1500年代の終わりに出てきた『十四經發揮』である。

 日本の経穴学は、古い時代に『明堂』を引くのであるが、その後ほとんど影響を与えなくて、『十四經發揮』のところからはじまる。この本の体系は決定的なものなので、個人が自分の腕力で経穴学を書き換えるということはできない。
 
 大きなイデオロギーというものは変更させるのが意外とむつかしい。けちをつけるのはできるが、全体を変更させるというのは別の何かを対置するしかない。経脈学説の経穴の持っているものを全部吸収して別のものをつくる以外にない。
 
 今でも『十四經發揮』の影響というのは隠然と続いている。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章
 
⑭ 諸暴強直(しょぼうきょうちょく)は、皆な(みな)風に屬す(ぞくす)。
 (解説)
 ・劉完素(りゅうかんそ)という人の注は、こうである。
 「暴」は、「卒(そつ)」にわかに、すなわち急性病、しかしもう一つ意味があって「虐害(ぎゃくがい)」何かを損なうようなもの、「強直」は、強張っている状態、「直」は筋張っている。
 けいれんの病、硬直した病というものを筋が関係しているからといって風木の病だと考えてはいけない。
「強直」になる理由というのは、風がそうさせているのではない。風というものと、それによって巻き起こされた金の病(肺の病)の部分が「強直」という状態を起こさせている。
 
・張介賓(ちょうかいひん)という人は、このように言っている。
「暴」は「猝(そつ)」なり、という。(「猝」は犬が、くさむらから突然にとびだしてくるということから「急に」という意味をさす。「卒」の元の字である)
 肝の蔵というのは筋つまり体を動かすためのシステムをつかさどっている。肝が障害されると、筋に影響がおよぶ。
 風には、外邪の風と、体の中のアンバランスが起こって風のような状態が起こるという二つがある。
 そのうちの体の中のアンバランスで肝の気が虚になったり、実になったりするのがこのようなものなのだ。
 風というのは単なる外邪としての風ではなくて、内傷としての風、そして金のはたらきというものを巻き起こすことによって起こる。
 
 
⑮ 諸病聲(しょびょうこえ)有り、之れを鼓(こ)すれば鼓(つづみ)の如くなるは、皆な熱に屬す。
(解説) 
・劉完素は、声あるという状態を、喘息様のぜぇぜぇと声を出す、嘔吐、酸っぱいものをげぇげぇと吐く、暴注下迫(下痢)、腹脹大でこれを叩いて鼓(つづみ)のような音がするというのが、それに当ると言う。
・馬玄臺は、「声ある、つまり病で音が生じるという状態は、すべてからだの内側に熱がある状態と見るべきだ」と言っている。
・張介賓は、「おなかが張っているのは、これは熱のせいである。腹部にある熱である。陽気が逆するところである。しかし寒の場合にも声ありという状態がある」という。
 
⑯ 諸病腑腫(しょびょうふしゅ)、疼酸驚駭(とうさんきょうがい)は、皆な火に屬す。
(解説)
・張介賓は、「腑腫」は浮腫のことである。熱が外にある場合は、「胕腫疼酸」むくみのような状態、しびれ痛みのような状態になり、陰の方にある場合は、精神的なものに影響をおよぼすと注解している。

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*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。『素問』の森を歩いていると、王冰(おうひょう)さん、劉完素(りゅうかんそ)さん、馬玄臺(ばげんだい)さん、張介賓(ちょうかいひん)さんほか色んなひとの歩いた道があります。だれでも、お越しください。
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)