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平成30年1月素問勉強会(29年度)/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.02.26

●日時:平成30年1月14日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2018年1月号 『臨床に活かす古典№68 文献その1』のお話より
 
 病証学をどのように学ぶか。最近は見通しがある。
 
 まず、なにしろ金元明医学をやればいいということである。頭痛だとかめまいだとか腰痛だとか、もろもろの主要なものの病気の見方をどうするかを金元明医学でつかめばいいというのが大きな結論である。
 
 そのやりかたというのはこういうものである。まず最初にやるべきことは、腰痛とかめまいとかを『素問』や『霊枢』から探っていくのでは無くて、金元明医学で、特に明の時代の1500年代の主要な本からその内容をかためていくというのが、先だという風に思っている。その本とは虞摶(ぐたん)の『医学正伝(いがくせいでん)』、徐春甫(じょしゅんぽ)の『古今医統(ここんいとう)』、李てん(「てん」は「木へんに延」)の『医学入門』、呉崑(ごこん)の『医方考(いほうこう)』、龔廷賢(きょうていけん)の『万病回春(まんびょうかいしゅん)』である。
 
 選択の基準が二つあって、一つは日本人が江戸時代によく読んだものであること。日本人が読んだ本ということが実は重要である。我々の先輩が読んだということは、何でも無いようであるが、これは非常に重要である。
 
 もう一つの基準は1500年代の中国の医学の中で、一番力を振るったというのは、李東垣(りとうえん)や朱丹渓(しゅたんけい)であり、特に朱丹渓の医学というのが非常に流布しているのであるが、その系統に属する人たちを選ぶということである。その系統に属し、しかも大きな本、医学全書を書いている人たちを選ぶと、ほぼ今あげた五つぐらいの本が上がってくると思う。
 
*最初は『医学正伝』から入るのが良い。『万病回春』は最初、勉強するには向かない。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章
 
④ 諸濕腫滿(しょしつしゅまん)は、皆な(みな)脾(ひ)に屬す(属す)。
(解説)
 馬蒔(馬玄臺【ばげんだい】)という人は、「脾の気が虚弱で、水を泄すること能わず、そうすると水が妄行(もうこう)して全身に浮腫が起こるのが腫満だ」と言っている。
 腫滿という言葉は、諸々の辞書を引いても出てこない。全身の浮腫であると考えておけばよいかと思う。
 
 
⑤ 諸熱瞀瘛(しょねつぼうけい)は、皆な火に屬す。
(解説)
 方藥中という人は、瞀(ぼう)は目が回ってこころもちが悪くなってしまった状態、瘛(けい)は、けいれん、引きつけを起こす状態だと言っている。
 
 
⑥ 諸痛痒瘡(しょつうようそう)は、皆な心に屬す。
(解説)
 痒(よう)はかゆい、養と書いても同じ意味になる。瘡(そう)は皮膚のできものである。
 
 
⑦ 諸厥固泄(しょけつこせつ)は、皆な下(した)に屬す。
(解説)
 厥(けつ)というのは厥症、つまり足が冷えて、からだの上の方に症状が出るものをいう。足が冷えて、からだの上の方に痛みや呼吸速迫などの症状が出る。
 気のめぐりの本来は、上にある気が下り、下にある気が上がるというのが普通なのであるが、それがうまくいかなくて、気が上がったままで下ってこない、下にある気がのぼってこない、そういう状態を厥症という。
 
 固(こ)というのは大小便が出ない状態、泄(せつ)というのは大小便ともに垂れ流す状態をいう。
 王冰(おうひょう)は、「下とは下焦をいう。肝腎の気なり。下を守司するは腎の気なり。門戸束要は肝の気なり。故に厥、固泄はみな下に属す。厥は氣逆(めぐるべき状態がちゃんとめぐらない状態)という。固は禁固(ものが出てこない)の状態である。もろもろの氣逆上行および、固不禁、出入、度無し。燥湿常ならざることあり。みな下焦の主守による(肝、腎のはたらきである)」といっている。
 
 
⑧ 諸痿喘嘔(しょいぜんおう)は、皆な上(うえ)に屬す。
 
 王冰は、「上とは上焦をいう。心肺の気なり。ものを燃やしてしまう心のはたらきである。熱を受けて化を分かつのは肺の気なり。熱が鬱した状態であると、上の方に病症状があらわれる。ゆえに病は上焦に属す」と言っている。
 
 
*馬蒔(馬玄臺)の注を見たい人は、内閣文庫のサイトにアクセスして『黄帝内経素問註証発微(こうていだいけいそもんちゅうしょうはっき)』で検索すると良い。和刻本と明版の二つのテキストがあるが違う箇所がある。天宝堂版が明版なのであるが、それをおろすのが一番きれいである。

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*次回は ⑨『諸禁鼓慄(しょきんこりつ)、神(しん)の守りを喪うが如きは、皆な火に屬す』からです。
 
*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。はるか昔から続く道には、あちらこちらに道しるべがあります。色んな時代の色んなひとが歩いてきた道です。

(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)