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素問

29年度12月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.01.25

●日時:平成29年12月27日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2017年12月号 『臨床に活かす古典№67 日中』のお話より
 
 現代中医学の本に書いてあるが古典のわずかな文献を見てみるとそんなふうになっていないと感じた。これは古典の雑多な色々な要素をうまくすくいあげてないなという感じがあった。わたしが古典を読んでいなければ、あるいは目に触れていなければ、そうは思わなかったと思う。現代中医学がすべてという風になったと思う。古典に触れていたので、現代中医学のように古典はなっていないというのを知っていた。古典の雑多で非常に矛盾して混乱しているものが、なぜ現代の中医鍼灸のようになるのか、という思いがあった。現代中医学は完結している。
 わたしの場合はそういうことで、伝統的な中国医学が持っている歴史的、地理的な違い、日本、朝鮮半島、中国から来る差異や矛盾などを消してしまっているということがあって、教科書に通例のつくり物めいたつまらなさというのを感じたのである。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章
岐伯曰く(いわく)。
(訳文)
 岐伯が言う。
 
*以下の文に続く。
① 24 諸風掉眩。 25 皆屬於肝。
 諸風掉眩(しょふうとうげん)は、皆な(みな)肝に屬す(属す)。
 
【解説】
*「風」という言葉には病気の原因と病気の状態の二通りの意味がある。
 
*馬玄臺(ばげんだい)という人は、このように注を入れている。
「風」のはたらきも「木」のはたらきも「肝」のはたらきも、ものを揺するということが中心になる。人間では体がゆれる、ゆれるように感じるというものはすべて「肝」のはたらきである。「肝」のはたらきは「風」「木」と同じ性格のものである。肝の脈は督脈とつきしたがって、頭のてっぺんで督脈と一緒になる。だから頭のてっぺんが時々ゆれやすい。
 これを明代の初期の本『醫学綱目(いがくこうもく)』と劉河間(りゅうかかん)の著作『素問玄機原病式(そもんげんきげんびょうしき)』を引いて、説明している。
 
*めまいを起こすのは「木」のはたらきなのであるが、その原因は「木」自身が太過する(盛んになる)場合もあるし、「金」のはたらき、あるいは「土」のはたらきによって「木」に影響する場合もある。これを実体的なものと思ってしまうと、まるで迷信みたいな話になる。すべては実際に目の前にある病症状から組み立てなおすのである。木火土金水というカテゴリーを使いながら病態や自然現象を説明していくのであるから、そこを勘違いの無いようにお願いしたいと思う。
 
② 26 諸寒收引。 27 皆屬於腎。
 諸寒收引(しょかんしゅういん)は、皆な腎に屬す(属す)
 
【解説】
*「收引(しゅういん)」はものが縮まること、収束すること、内側に向かって収縮していって、しかも強く引っ張られるさまを言う。よって「諸寒收引」は寒の気のはたらきで非常に緊張した状態になるということである。
 
*王冰(おうひょう)という人は、「收」は収斂、「引」は急、引きつった状態をいうと注釈を入れている。冷えたものは容積が小さくなってくる。これは「水」の気のはたらきと同じであると言っている。
 
③ 28 諸氣憤鬱。 29 皆屬於肺。(注 「諸氣憤鬱」の「憤」の字は原文は「月へん」である)
 諸氣憤鬱(しょきふんうつ)は、皆な肺に屬す(属す)
 
【解説】
*憤鬱というのは気の滞りをいう。気滞とか気鬱(きうつ)という状態である。
 
*「気」というものがある。これは目に見えないものであり、動きはあまり早く無く、冷えている状態である。これが滞ることによって病態が起こる。
 
*肺の気というものは、目に見えない大気が出入りする。それは、わずかに冷えている。肺の気が滞ると、病気になり肺の熱を起こす。
 
 
*これからのラインナップは以下のとおりです。お楽しみに。
 
④ 30 諸濕腫滿。 31 皆屬於脾。
⑤ 32 諸熱瞀瘛。 33 皆屬於火。
⑥ 34 諸痛痒瘡。 35 皆屬於心。
⑦ 36 諸厥固泄。 37 皆屬於下。
⑧ 38 諸痿喘嘔。 39 皆屬於上。
⑨ 40 諸禁鼓慄。 41 如喪神守。 42 皆屬於火。
⑩ 43 諸痙項強。 44 皆屬於濕。
⑪ 45 諸逆衝上。 46 皆屬於火。
⑫ 47 諸脹腹大。 48 皆屬於熱。
⑬ 49 諸躁狂越。 50 皆屬於火。
⑭ 51 諸暴強直。 52 皆屬於風。
⑮ 53 諸病有聲。 54 鼓之如鼓。 55 皆屬於熱。
⑯ 56 諸病腑腫。 57 疼酸驚駭。 58 皆屬於火。
⑰ 59 諸轉反戻。 60 水液渾濁。 61 皆屬於熱。
⑱ 62 諸病水液。 63 澄澈淸冷。 64 皆屬於寒。
⑲ 65 諸嘔吐酸。 66 暴注下迫。 67 皆屬於熱。
 
*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。はるか昔から続く道には、あちらこちらに道しるべがあります。色んな時代の色んなひとが歩いてきた道です。

(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)