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素問

29年度10月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十二章より2017.11.27

●日時:平成29年9月10日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2017年10月号 『臨床に活かす古典№65 交流』のお話より

 
 意見の交流というのは条件がある。自分の意見を言うのは、意見の交流ではない。自分がやっているやり方を言っても、それは交流ではない。交流というのは相手と自分の共通の土壌の確認が最初になる。たとえば経絡治療家どうしが意見の交流をするには、診断の枠組み(六部定位診で診て経絡の虚実を決めるという事)の、どこがお互いに共通しているか、いないかを前提としてという事である。
まず理論的なものをつめておかなければ、いくら臨床の話をしても、無理である。そういう手続きが必要である。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十二章
 
帝(てい)曰く(いわく)、幽明(ゆうめい)何如(いかん)、と。
(訳)帝が尋ねた。「幽明とはどういうものか」
 
岐伯(きはく)曰く、兩陰(りょういん)交々(こもごも)盡く(つく)、故に幽(ゆう)と曰う(いう)。
兩陽(りょうよう)、明(めい)を合す(ごうす)、故に明と曰う。幽明の配(はい)は、寒暑(かんしょ)の異(い)なり、と。

(訳)岐伯が答える。「兩陰(太陰と少陰)の気がすべて無くなった状態を幽という。兩陽(太陽と少陽)の気が一緒になった状態を明という。寒くなったり暑くなったりするのは、幽と明の配合された状態であり、幽明の配とは、寒暑の別の表現である」
 
(*解説1)ここでは、幽は厥陰(けっちん)と同じ意味である。寒くなって行く過程で、だんだん陰の気がつきてくる。この状態が厥陰で、この時に陽の気が発生する。厥陰の気というのは、一番寒い時期であるが、陰の気が尽きてきて、陽の気があらわれてくる時期である。
 
(*解説2)陽の気が多い順に、太陽(三陽、陽の気がもっとも多い)・陽明(二陽)・少陽(一陽、陽の気がもっとも少ない)である。
 
(*解説3)「兩陽、明を合す」とは太陽と少陽の気の間にある状態をいう。陽明と考えれば良い。
 
(*解説4)一年の間で、厥陰は陽の気のはじまりの時期。陰の気がつきた時期が厥陰。陽明は陰の気のはじまりの時期。陽の気がつきた時期が陽明。
 
(*解説5)「兩陰交々盡く、故に幽という。兩陽、明を合す、故に明と曰う」この文章には二つの解釈がある。

・王冰(おうひょう)・張介賓(ちょうかいひん)の解釈
『霊枢』陰陽繋日月篇(いんようけいじつげつへん)にもとづく解釈である。この篇は、その月毎によって人の気というものは多少があり、人の気のありかたと鍼の刺し方について述べている。ただし、ここの部分は鍼の刺し方について書かれた文章では無いので、ここでは自然現象という意味で、他の解釈をとっておくほうが良いであろう。
 
・高士宗(こうしそう)の解釈
「秋や冬の寒い時期の果てに、両陰が交わりつくという厥陰の状態がはじまって春が始まる。その状態を幽という。春は温、夏は熱、暖かさや暑さというものがあって、その果てに秋が始まる、秋は陽明燥金の時期、その状態を明という」「時間が流れて行き、寒くなったり、暑くなったりする。これが幽明の配、幽と明が配合された状態であって、これは寒暑の別の表現である。暑さや寒さというものを観察することが出来れば、一年の間の幽と明の状態がわかる」
 
帝曰く、分至(ぶんし)何如、と。
(訳)帝が問う。「分と至とは、どんなものであろうか」
 
(*解説)「分」は春分と秋分、「至」は夏至と冬至のこと。
 
岐伯曰く、氣(き)至る(いたる)、之れ(これ)を至(し)と謂う(いう)。氣分つ(わかつ)、之れを分(ぶん)と謂う。至れば則ち(すなわち)氣同じ、分たれば(わかたれば)則ち氣異なり。所謂る(いわゆる)天地の正紀(せいき)なり、と。
(訳)岐伯が答える。「その季節の気が極点に達した状態を、至るという。気候の区分を分という。気が至った時は、季節と気候の変化が同じである。気が分けられると(春分と秋分の時期になると)、季節と気候の変化が違う状態となる。これが、正しい気のありかたである」
 
(*解説)方藥中(ほうやくちゅう)は、次のように解釈している。
夏の気が非常にさかんな状態を夏至という。冬の気の一番さかんな時を冬至という。気が至る時というのは、気候の変化と季節が完全に一致する。春から夏に転じていくから「春分」、気のありかたが陰から陽にかわる。秋から冬に転じるので「秋分」、気のありかたが陽から陰に変わる。
 2017年は、3月20日(春分)、9月23日(秋分)である。
 
 
*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。1992年6月14日(日)の第一回から年を重ねて二十六年目、一歩一歩ですが、着実な一歩です。
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)