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素問

29年度6月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第四十九章より2017.07.21

●日時:平成29年6月11日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生
 

★医道の日本誌6月号 臨床に活かす古典 『№62 治験』のお話より

『素問』『霊枢』『難経』『傷寒論』『金匱要略(きんきようりゃく)』等は理論を提示するための
もので、具体的な治験例を示したものではないとは誰でもすぐにわかるであろう。
書物とはそういうものだと思う。原理的なものを出すのが先で、個別の治験例を書く事が本を書く
目的ではなかった。
 『甲乙經(こういつきょう)』に出ている『明堂(めいどう)』の主治条文というものがあるが、
これも勿論個別の治験例では無い。主治病証というものがいっぱい出てくるのであるが、
これが普遍的なものなのか個人の治験をただ集めたものなのかは議論がある。私は出てきた時代
から言っても、個別の治験をまとめたものでは無いと思っている。もちろん経験が元にはなっている
のであるが、経験を元に抽象的に治療理論としてまとめたものであると思っている。
 
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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第四十九章より

 
帝(てい)曰く(いわく)、六氣(ろっき)の標本、從う(したがう)所同じからざるは、
奈何(いかん)、と。

岐伯(きはく)曰く、氣(き)、本に從う者有り、標本に從う者有り、標本に従わざる者有り、と。

 
帝が言われた「六気の標(ひょう)に主体を置くのか、それとも本(ほん)に主体を置くのか。
各々の季節で特に注目しなければいけないものが違っているのは、どのようなわけか」
岐伯が答える「自然界あるいは人体のありかたは本だけを重視すればいいもの、標と本の両方を
注目しなければならないもの、標と本以外のものに注目しなければいけないものがある」
 
*本(ほん):ここでは天地の天にある風・熱・湿・火・燥・寒を指す。これらが地上に下りて
       季節を作る。
*標(ひょう):ここでは天地の地上の方で起こる季節を指す。季節は厥陰・少陰・少陽・
       太陰・陽明・太陽で表す。

 
帝曰く、願わくば卒くに(ことごとくに)之れ(これ)を聞かん、と。
岐伯曰く、少陽(しょうよう)太陰(たいいん)は本に從う。少陰(しょういん)太陽(たいよう)
は本に從い、標に從う。陽明(ようめい)厥陰(けっちん)は標本に從わずして、中(ちゅう)に
從うなり。
故に本に從う者は、化(か)、本より生ず。標本に從う者は、標本の化有り。中に從う者は、
中氣(ちゅうき)を以て(もって)化と爲す(なす)なり、と。

 
が言われた「全部聴きたい」
岐伯が答える「少陽と太陰は本に従えば良い。少陰と太陽は本と標のどちらにも従う。陽明と厥陰は
標にも本にも従わないで、中に従う。少陽と太陰は本が持つ物事の変化がある。少陰と太陽は標と本の
両方の物事の変化がある。陽明と厥陰はその表裏の関係にある太陰と少陽の持つ物事の変化がある」
 
*中(ちゅう):表裏の関係。陽明の中は太陰、厥陰の中は少陽。

 
帝曰く、脈從いて病(やまい)反する者は、其の診(しん)何如(いかん)、と。
岐伯曰く、脈至りて從えども、これを按して(おして)鼓せず(こせず)。
諸陽(しょよう)皆な(みな)然り(しかり)、と。

 
は言う「脈状と症状は一致する。ところがそれに反して脈状と症状が違ってしまう場合がある。
それはどんな状態なのか」
岐伯が答える「脈状と症状が一致するものであっても脈を強く触れてみると、脈がはげしい力で
打ち返して来ない、つまり病とは違う脈状が捕まえられる。これは、諸々の陽の性格を持つ病症状
(たとえば発熱)のどれもが同じである。
 
*脈状と症状が一致する例は、寒い時に脈が沈み細く小さくなるものや、熱の病症状の時に脈状が
 数(さく)になるもの等である。

 
帝曰く、諸陰(しょいん)の反たる、其の脈何如、と。
岐伯曰く、脈至りて從えども、之れを按して鼓すること甚だしく(はなはだしく)して盛(せい)なり、と。

 
が言う「陰の性格を持つ病症状が出ている時に脈状と症状が一致しない場合、その脈状とは
どのようなものか」
岐伯が答える「陰の性格の病症状であるが、脈状と症状が一致していないものがある。その脈状と
いうのはまず病症状が陰であって陰の脈(脈が沈んで細い脈)を打つ。ところがこれを強く押さえると
脈の強い状態が起きてくる。これを言う」

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*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。
*8月の素問勉強会は年に一度の『八月特別講義』です。

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今年の講義は『復刻書について』
1981年~1995年頃に出版された復刻書について、どういう経緯でどんな風に出版されるに
至ったか、またどんな反応が有ったのかなど篠原先生にお話いただきます。
現在、日本の鍼灸に携わる全ての人の羅針盤に成りえる内容かと思います。
お誘いあわせの上ご参加ください。
(素問勉強会世話人 東大阪地域 松本政己)