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素問

29年5月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第四十七章より2017.06.17

● 日 時:平成29年5月13日(日) ● 会 場:大阪府灸師会館 3階 

● 講 師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生


◆医道の日本誌5月号 臨床に活かす古典 No.61 研究』のお話より

 実際に、今何かをするという実学的な立場に立つと、やはり今やっている
ことが出発点になると思う。今、治療をやっていて自分は何か足りないとい
う時に、その足りないものを補うために初めて古典を紐解く。その時にはじ
めて古典が生きてくるものと思う。過去の知識がその時に初めて現実になっ
て出てくるというものであろうか。そういうありかたでしか古典を使う方法
は無いのではないかと思う。
 

■『素問』至眞要大論篇第七十四注 第四十七章より

 帝曰く、善し。六氣の勝(しょう)、何を以て(もって)之れを候わん
 (うかがわん)、と。

 岐伯曰く、其の至るに乗ず。淸氣(せいき)大いに來たる(きたる)は、
 燥の勝なり。風木(ふうもく)、邪を受けて、肝病(かんびょう)生ず
 (しょうず)。

 熱氣大いに來たるは、火(か)の勝なり。金燥(きんそう)、邪(じゃ)
 を受けて、肺病生ず。

 寒氣大いに來たるは、水(すい)の勝なり。火熱(かねつ)、邪を受け
 て、心病生ず。

 濕氣(しっけ)大いに來たるは、土(ど)の勝なり。寒水(かんすい)、
 邪を受けて、腎病生ず。

 風氣大いに來たるは、木(もく)の勝なり。土濕(どしつ)、邪を受け
 て、脾病(ひびょう)生ず。

 謂う(いう)所の邪を感じて病いを生ずるなり。

 年の虚に乗ずれば、則ち(すなわち)邪甚だし(はなはだし)。

 時の和を失すれば、亦た(また)邪甚だし。

 月の空(くう)に遇えば(あえば)、亦た(また)邪甚だし。

 重ねて邪に感じれば、則ち病い危うし(あやうし)。

 勝の氣有れば、其れ必ず來たり復す、と。

 

 は言われた。「よろしい。では六つの気(風・熱・火・湿・燥・寒)の
何れかが一方的に強くなって別の気を圧迫する勝(しょう)の状態の時、こ
れをどんな風に観察すれば良いのか」

 岐伯が答える。「六気の特別に強くなった場所を把握して、どの五蔵に影
響するかという風にみるのが運気論における病気の観察のしかたである」

「涼しい気(清涼の気)が大いに来るのは乾燥(燥)の勝である。春なの
に温かくならずに、いやに寒っぽい。燥金の気が強すぎて金が木をたおす状
態になるので、人体では肝の臓器の病が起こる」

(*この文章の風木は春のことを表す)

 「熱気がやってきて秋の気のありかたに影響を及ぼした為に、秋の気が充
分に成長しないで、人体では肺の病が生じる」

 
「寒冷の気である太陽の気というものが大々的に襲来すると、寒水の気が
一方的に強くなる。その為、夏にもし寒冷の気がやってくるような事がある
と、夏の気の働きに障害が生じ人体では心の病が生じる」

 

「雨や湿気の気が大々的にやってくるのは、湿潤の気が一方的に強くなっ
た状態である。湿邪の影響で寒水の気が充分働かず、人体では腎の病が生じる」

 

「風の気が一方的に強くなった場合、長夏には人体に脾(ひ)の病を生じる」

(*長夏とは各季節の一番後ろにある二週間ほどを指す。ここでは夏の最後に
  来る典型的なものを言っている)
 

「六気の何れかの気が盛んになった為に別の気に影響が及んで、例えば、肝
の病が生じるのは金の気というものが病を生じさせる、というような形の病
気の理解が大切である」「年の虚には、障害が非常に激しくなる」

(*年の虚とは、五運【木・火・土・金・水】のどれかの気が不足している
ものをいう。どれかの気が不足していると別の気が盛んになる。例えば、金
運不及の時に火の気が盛んになる事が重なると、火尅金となり障害が激しく
なる)

 

「時の和を失すると、また人体に及ぼす障害は大きい」

(*主気と客気の関係で年によっては、例えば春で言うと、主気はもちろん
  変わらず厥陰風木であるのに、客気に厥陰風木を尅する陽明燥金がくる
  ことがある。このように、季節と相反する気が客気としてくる場合を
  時の和を失するという)

 

「月の空、月が欠けている状態によって人体に及ぼす障害は大きくなる」

(*『素問』八正新明論篇第二十六の中に、月の満ち欠けというのは人体の
  気と非常に関係があると書いてある)

(*「月の空に遇えば、亦た邪甚だし」以降の文章は、基本的に『霊枢』歳
  露論第七十九の引き写しである)

 

「年の虚、年の和、月の空の時に再び外邪がやってくれば病が危うくなる」
「六気の何れかの気が勝の状態になった時に、それを抑える別の気が強くな
り報復する」

(*例えば木の気が盛んである時に、土の気を圧迫して互いの関係はバラン
  スを崩す。その時に、金の気が発動して金が木を抑えるという風にバラ
  ンスを取る。木が盛ん⇒土が虚す,金が強くなる⇒木に報復)

 

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  毎月第二日曜に歩いています。

              (素問勉強会世話人  東大阪地域 松本 政己)