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素問

29年4月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第四十四章より2017.05.20

● 日 時:平成29年4月9日(日) ● 会 場:大阪府灸師会館 3階 

● 講 師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

 素問勉強会は平成5年(1993年)4月より始まり、今回で25年目に
入りました。平成5年といいますとサッカーJリーグの開幕、皇太子徳仁親
王と小和田雅子さんのご結婚、曙関が外国人力士として初の横綱に、そして
サッカーワールドカップ予選でのドーハの悲劇などが思い出されます。

●医道の日本誌4月号 臨床に活かす古典 『No.60 教育』のお話より

  『素問』『霊枢』などの原典あるいは『史記』扁鵲倉公列伝(へんじゃ
 くそうこうれつでん)は重要である事は間違いがない。しかし即臨床に使
 うとか、適当にチョイスすれば良いというのとは違うものである。これら
 の古典をしっかり学ぶことによって今のものを補う為の色々な視点が出て
 くるという意味では、すぐに役に立つかどうかという角度と関係なく学ば
 ないとまずいと思う。

  役に立つ古典文献というのはどのようなものを選べばよいのか。それは
 簡単で先ずは古いものである。『素問』『霊枢』『難経』『鍼灸甲乙經
 (しんきゅうこういつきょう)』『脈經(みゃくきょう)』『傷寒論』
 『金匱要略(きんきようりゃく)』等である。それからもう一つ必要なも
 のは金元明の李朱医学の本である。病の機序をみるには金元明時代のもの
 を見ないと、とてもわかるものでは無い。また金元明時代のものは『素問』
 『霊枢』を読まないと読めない。

■『素問』至眞要大論篇第七十四注

  第四十四章より

 帝(てい)曰く(いわく)、善し。願わくば陰陽の三(さん)を聞かん。
 何の謂(いい)ぞや、と。

 岐伯(きはく)曰く、氣に多少有り、用を異(こと)にす、と。

 帝曰く、陽明は何と謂う(いう)ことぞや、と。

 岐伯曰く、兩陽(りょうよう)、明(めい)を合(ごう)するなり、と。

 帝曰く、厥陰(けっちん)は何ぞや、と。

 岐伯曰く、兩陰(りょういん)交々(こもごも)盡くる(つくる)なり、
 と。


 が言われた。「三陰三陽について聞きたい。どういう意味であるか」

 岐伯が答える。「陰の気、陽の気にそれぞれ多い少ないということがあり、
         その働きというものがそれによって違っている」

 が問う。「陽明の定義とは何であろうか」

 岐伯が答える。

 【A 張介賓の解釈】
   「陽明とは二つの陽(少陽と太陽)が合わさって陽が盛んになったものだ」

 【B 高士宗や方藥中の解釈】

   「陽明は太陽と少陽のちょうど真ん中にあってその二つをつなぎ合わせる
    ものである」


 が問うた。「厥陰とはどういうものであるか」

 岐伯が答える。

 【A 張介賓の解釈】

   「厥陰は太陰と少陰が交わって陰の気がもっとも盛んな状態である」

 【B 方藥中の解釈】

   「厥陰は太陰と少陰の二つの陰の真ん中にくるものである」

 【C 高士宗の解釈】

   「厥陰は太陰と少陰の後に来るものである」


*『素問』『霊枢』の中の三陰三陽を論じたものは見たところ4つぐらいに
 分ける事ができる。一つは、『霊枢』経脈篇にある。太陰と陽明が表裏に
 なっているというようなもの。二つ目は、『素問』熱論にある。邪気が太
 陽の方から入って行き陽明、少陽、太陰、少陰、厥陰という風に巡ってい
 くという事を書いたものである。もう一つは、『素問』陰陽離合論の中に
 ある。片方に太陽の気があり、片方に陽明の気があり、真ん中にドアの軸
 のように少陽の気があるというような、太陽、少陽、陽明という分け方を
 している篇がある。他に六気型というもので、太陽の気は寒水、厥陰の気
 は風木というように風火暑湿燥寒と結びついているという形で三陰三陽を
 論じたものがある。この章に書かれている陽明と厥陰は見るところ『素問』
 陰陽離合論と『霊枢』陰陽繋日月篇の系統のものになる。


*王冰(おうひょう)は『霊枢』陰陽繋日月篇(いんようけいじつげつへん)
 を引いて解釈している。この篇によると年の前半六か月は陽の気が集まり、
 後半六か月は陰の気が集まっていると考えて、人の体を構造的にとらえて
 一年の前半は陽の気の経脈に、後半は陰の気の経脈に気が集まると解釈す
 る。気が集まってくるところには鍼を刺してはいけないと言っている。


●陰陽繋日月篇に著されている12カ月と気の集まる12経脈の配当

 1月  左、足の少陽胆経

 2月  左、足の太陽膀胱経

◎3月  左、足の陽明胃経

◎4月  右、足の陽明胃経

 5月  右、足の太陽膀胱経

 6月  右、足の少陽胆経

 7月  右、足の少陰腎経

 8月  右、足の太陰脾経

◎9月  右、足の厥陰肝経

◎10月 左、足の厥陰肝経

 11月 左、足の太陰脾経

 12月 左、足の少陰腎経


*この章は王冰、張介賓、高士宗の三人の説が有ると考えておくだけで良い
 と思う。

 

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  毎月第二日曜に歩いています。

                 (素問勉強会世話人 東大阪地域 )