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研修会&講座のお知らせ

28年度 第8回学術講習会報告12017.04.07

■日 時 : 平成29年3月5日(日)

■会 場 : 森ノ宮医療学園専門学校


講演1「在宅医療推進コーディネータについて」
     ~今、医療と介護は何処へ向かっているのか~

                 講師:(一社)大阪府医師会理事 
                        宮川 松剛 先生

 平成28年度最終の学術講習会は、在宅医療と若年性認知症といった
介護分野をテーマにした講演でした。1講目では大阪府医師会で介護保
険や地域医療を担当されている宮川先生に今後の「医療」と「介護」の
あり方について「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」「介護予防・
日常生活支援総合事業(介護総合事業)」といった3つのキーワードを
中心に、大阪府医師会の取り組みも交えて解説して頂きました。

 まず高齢化の現状としては、すでに高齢化率が25.1%に上昇し、
平成72(2060)年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人
が75歳以上になります。大阪府に限ると、全国で4番目に高齢者人口
が多く、高齢化率が23.7%(平成24年時点)、自宅での死亡割合
が18.2%(平成24年時点)となっています。

 こういった状況の中で、これまで国主導の高齢者福祉事業やサービス
が市町村で行われるようになり、住み慣れた地域で「住まい」「医療」
「介護」「生活支援・介護予防」を包括的に整備する体制、すなわち
「地域包括ケアシステム」の構築が急務となったのです。各自治体では、
3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を行い、地域包括ケアシステ
ムを2025年(団塊世代が75歳以上となる)までに確立すべく進ん
でいます。

 しかし実際は、地域包括ケアの中核機関として「地域包括支援センタ
ー」が設置されましたが、医療と介護の連携が不十分と考え、連携強化
の充実を図るため「在宅医療連携拠点」を設置しました(大阪府内3か
所‐東成区医師会・淀川キリスト病院・ベルピアノ病院)。そして、大
阪では特に高度急性期・急性期病院が多く、今後必要とされる回復期や
慢性期に対応する病院があまりにも少なく、入院が必要になっても入院
する病院がないといった状況がやってきます。そこで「地域医療構想」
を策定し、病床機能を調査・整理することによって各市区町村の医療資
源を把握することができます。そこから見えてきたものとは、民間病院
の方が急性期から慢性期まで幅広い診療を行っており、医療・介護連携
の推進に大きな期待が寄せられているということです。

 2025年に向けて、地域包括ケアの進化や在宅医療の充実を図って
いく上で、医療提供は診療所から診療所・病院へと、多職種協働(医療
・介護)は規範的統合へ向かわなければいけません。そこで、診療所と
病院・介護を調整する役として「在宅医療推進コーディネータ」(現在
は、訪問看護師が中心)の人材育成・配置が急務となっています。つま
り、医療と介護が“顔の見える関係づくり”をしていこうという訳です。

 平成30年までには、在宅療養を希望する患者が安心して適切な医療
を在宅で受けられるようにするため、府内57の各地区医師会に地域医
療連携室を設けて「在宅医療コーディネータ」を配置し、地域の在宅医
療の充実強化を図る計画です。地域の医療資源の把握に努めるほか、ア
ンケート調査などを通じた患者の受診動向の把握、医療機関に対する在
宅医療参入の呼び掛けなどに取り組むといいます。特に精神科の往診体
制が構築できていないのも大きな課題だそうです。

 平成27年4月から始まった「介護予防・日常生活支援総合事業(介
護総合事業)」も介護保険制度の今後を見定める注目すべき事項です。
現行の介護予防給付(要支援1~2)のうち訪問介護と通所介護(デイ
サービス)は市町村が中心として行う地域支援事業の中の「介護総合事
業」に変更となります。2025年に向けて「地域包括ケアシステム」
構築の柱になる事業ではありますが、更なる介護給付削減になるのでは
ないか、サービスの地域間格差ができるのではないか、などの問題点も
挙がっています。 

 年々変化していく介護保険制度ですが、多職種連携という枠の中で、
我々鍼灸師がどのように関わっていくべきかも刻々と変化し、対応して
いかなければなりません。そのためにも常に新たな情報や知識をインプ
ットしておく必要があると感じた講習会でした。
                  (研修委員会委員 荒木 善行)