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研修会&講座のお知らせ

28年度 第5回学術講習会報告22016.12.31

■日 時 : 平成28年11月20日(日)
■会 場 : 明治東洋医学院専門学校 2階講堂
■主 催 :   (公社)大阪府鍼灸師会

◆講演2 「パーキンソン病の鍼治療」
       京都府立医科大学医学部医学科 在宅チーム医療推進学
                  (神経内科) 建部 陽嗣先生

 日本の超高齢社会について、2025年問題、平均寿命と健康寿命の
幅が狭まらないこと、要介護者の増加と高齢者の受療率が高くなってい
ること、住民の高齢化と建物の高齢化も進行し、ロコモティブシンドロ
ーム(「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態にな
ること)を取り巻く環境について話されました。大阪府も団地が多く、
エレベーターのない建物があり、①外出困難②近隣住民との関わり希薄
③引きこもり④買い物難民となり、移動能力の低下が起き、孤立しやす
い。同居型高齢者でも移動能力に障害があると、3.17倍孤立しやす
く、移動能力を維持させることが大切であると唱えられていました。ま
た、移動能力低下者へ在宅で治療ができるのが鍼灸だとも言われていま
した。
 パーキンソン病(PD)については、原因は不明で臨床的には、振戦
・筋強剛(固縮)・寡動・無動・姿勢反射障害などを主徴とする慢性進
行性の神経変性疾患であり、年々増加傾向で、年齢的には70歳以上が
多く、120歳まで生きたら全員パーキンソン病になると言われていま
した。
 症状は、パーキソニズム震え(振戦)・筋強剛・無動・姿勢反射障害
の四大症状に加え、病気の発症が腸管の変性からはじまり、便秘や痛み
にも注意が必要です。
 PD診断基準の①パーキンソニズムがある。②脳MRI又はCTに特
異的異常がない。③パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への暴露がな
い。④パーキンソン病薬にてパーキンソニズムの改善がみられる。これ
らの4項目を満たした場合、パーキンソン病と診断するが、私たちの日
々の治療の中で①と③は症状や問診により疑いを持つことができる。
 「鍼灸界に一番足らないことは記録をつけることである」と注意喚起
していた。 また、パーキンソン病以外のパーキンソニズムで一番多い
のは、種々の薬の副作用によって薬剤性パーキンソニズムを引き起こし
ていることもあり、服薬確認も必要である。
 また、タバコを吸う人はパーキンソン病になりにくい事や糖尿病や痛
風の方も少ない、農薬や乳製品が危険因子になるなど目を疑うような報
告もあった。
 パーキンソン病に対する鍼灸治療は、「naturenews」有名なネイチャ
ーでも取り上げられたほどで、人への臨床試験では神経学的スコアに有
意な差は見られなかったが、QOLの向上が認められ、また、PDの随
伴症状(便通・気分・痛み)の改善がみられた。PDを治すことも進行
をとめることもできないが、ゴールを決めて、治療に臨むことが大切で
ある。また、患者に話す基本的なことのなかで、遺伝性がないこと、姿
勢反射障害が出てくれば、ステージⅢになり医療費助成が受けられるこ
となど進言してあげることも大切である。
 最後に、Sham鍼と比較すると、効果がかわらないという結果が出
ているが、たとえプラセボ効果であったとしてもこれ以上の効果を出す
方法は他にはないことも言及されていた。
 今回の両講義では、完治することは難しい、また、現代医学ではお手
上げな症状が鍼1本で症状が改善し、患者のQOLが改善し、社会に貢
献できる鍼灸のすばらしさを再確認しました。鍼灸の認知度を高める努
力を惜しまず、鍼灸師の資質向上の必要性を考えさせられました。    
                  (研修委員会委員 思川 裕子)