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素問

28年10月素問勉強会/至真要大論篇第七十四注  第三十五章より2016.11.21

● 日 時 : 平成28年10月9日(日) ● 会 場 : 大阪府鍼灸師会館 3階 
● 講 師 : 日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

◆医道の日本誌10月号 臨床に活かす古典 『№54治癒』のお話より

 一年中患者さんを観察しているとわかるが、比較的体調が良い季節と良く
ない季節がある。たとえば腰痛なら腰痛でずっと主訴は変わらないのだが、
この季節の方が楽だという事がある。季節と体内のメカニズムというのは関
係している。これは観察しておく必要がある。痩せている人はどちらかと言
えば冬と春にあまり調子が良くなくて、太っている人は夏と秋にあまり調子
が良くない。たとえば6月頃になると食欲が無くなるであるとか、9月頃に
なるとぜんそくの症状が出るなどである。
 4~5時間しか寝ないで精神的に大変な圧迫感、たとえば締切があるとか
期限までに支払いをしないといけないという事があると、それが1年間ほど
続くだけで相当消耗度がひどくなる。始めは味の嗜好が変わり、すごく辛い
ものを食べたくなったり、甘いものを食べたくなったりする。あれっと思う
ような感じの変化なのであまりわからない。カゼを引いたら薬を飲んでも、
鍼灸の治療をしても何か月も治らない。このようになるものは消耗度が高い。
ものすごく足が冷えるとか髪の毛がどんどん抜けるとかいうような形で現れ
る。
 激辛が好きという患者さんの話に、我々は「ああ、そうですか」と通り過
ぎてしまうのであるが、激辛が好きという人は要注意である。特定のものが
ものすごく好きで、そればかり食べたり飲んだりしているというのは嗜好の
問題を越えている。極端な形になっているものは何かが壊れている。意外と
休まず働いて病気もしないでみんなをちゃんと差配して元気にやっていると
聞くとだまされるのであるが、味の嗜好というものはだませない。問診をし
てもなかなかそういう事を言わないがそういう事をキャッチした場合は、注
意を要する。

■『素問』至真要大論篇第七十四注 
 第三十五章より
 陽明の復(ふく)は、淸氣(せいき)大いに舉し(きょし)、森木蒼乾
(しんもくそうかん)し、毛蟲(もうちゅう)迺ち(すなわち)厲す(れ
 いす)。病、胠脇(きょきょう)に生じ、氣、左に歸し(きし)、善ん
 で(このんで)太息(たいそく)す。甚だし(はなはだし)ければ則ち
(すなわち)心痛否滿(しんつうひまん)す。腹脹(ふくちょう)して泄
 し(せっし又はもらし)、嘔苦欬噦(おうくがいえつ)し、煩心(はん
 しん)し、病、鬲中(かくちゅう)に在り、頭痛す。甚だしければ則ち
 肝に入りて、驚駭筋攣(きょうがいきんれん)す。太衝(たいしょう)
 絶すれば、死して治せず。


*木の気が盛んになった時に、それに対応して陽明燥金の気が木の気を
 抑えにいく。その時にどんな自然界の状態が起こるか、そして人間の
 体にどんな事が起こるかがこの章に書いてある。
 陽明燥金の復は、金が木に克つ状態をいう。その状態になる時には、
 乾燥して温度もさほど高くない秋の空気が盛んになる。繁った木が
 紅葉する前にからからになってしまう。葉の蒼さが残った状態で乾
 いて枯れてしまう。毛蟲(もうちゅう:五行の木に属する生き物)、
 毛のたくさん生えた虫が病気で死んでしまう。腋窩の少し下の脇の
 部分に痛みなどの症状が出る。金の気が肝に影響を与えて、肝木の
 気が傷(やぶ)られる。(左というのは肝の蔵のことを指している)
 よく太息する。(太息は「ため息」のこと。方藥中の注では『太息=
 短氣【呼吸がはあはあと小さくなる】』とあり、これは解せない部
 分である)ひどい場合はみぞおちの少し上の辺りがつかえた状態で
 痛む。(金が火の気を圧迫したことによる)おなかが張って下痢を
 する。(脾の病、土の症状、ここに土の症状が出てくるのは、金が
 木に影響して、木から火に影響して土の病まで至ると解釈するのが
 妥当か?)口から苦い水(胃液みたいなもの)が出て、せき込んだ
 り空えずきをする。煩心、胸苦しくなる。
(金が盛んになって木と火が抑えられて)肝・心・脾の病になる。
(方藥中は「病、鬲中(かくちゅう)に在り」を肝脾の受傷を指すと
 言っている) (陰の気が外をおおって汗も出ず熱も発散出来なく
 なり、その熱が体の上部に向かい)頭が痛くなる。金の気(温度が
 低くて乾燥している気)が盛んになった場合には肝が影響される。
 驚駭(きょうがい)、けいれん的な状態となる。(王冰【おうひょ
 う】の注であり、ここで王冰は火の病に属するとしているが疑問が
 ある。本来は木の病だと思う)
 太衝の脈が無ければ予後不良である。(足の甲にある脈診部位。
「太衝」は穴名か部位名かは注解者により解釈が異なる。足の厥陰肝
 経の穴と考えて問題無いと思う)

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  ています。
        (素問勉強会世話人  東大阪地域 松本 政己)