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素問

平成28年9月素問勉強会/至真要大論篇第七十四注 第三十三章から2016.10.07

●日 時 : 平成28年9月11日(日) ●会 場 : 大阪府鍼灸師会館 3階
●講 師 : 日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生


◆医道の日本誌8月号、9月号 臨床に活かす古典 『No.52左右、No,53疼痛』のお話より

■『No.52左右』のお話より

 
 私が通学していた鍼灸学校のある先生の鍼実技の授業は、本当に具合いの悪い人が申し出て、
その治療をしてくれるというものであった。ある生徒から「肩が上がらないから治療をして欲し
い」との申し出があった。そこで先生は、痛い肩とは逆の方の太淵穴(手首にあるつぼ、手の太
陰肺経)を一穴使った。まず鍼をする前に患側の上肢を上げたり下げたりして、それから脈をみ
て、もう一度上肢を上げたり下したりして、三秒ぐらい痛くない方の太淵穴に接触鍼を施した。
それでかなり長く患っていた五十肩様の痛みが全く無くなった。それが信じられなくて何とか痛
くしようと思って、あらゆる姿勢に肩を動かしてみたが、痛みが非常に軽くなっていた。その
生徒はもう一回ぐらい治療をしてもらったと記憶するが、それで在学中は全く肩が痛いと訴える
ことは無かった。それに対して先生は特別なことをしたとか、どうだ効いただろうという感じも
なく、当たり前という感じでその日の授業が終わった。そういう事が有った。
 逆にやったら効くのだということを、本を読むとか『素問』や『靈樞』の中の繆刺(びょうし)
や巨刺(こし)というものを読む前に、実際に治療で見たので非常にインパクトがあった。
頭が
痛い時に、(下肢の)委中穴や飛揚穴に施して痛みを取るという事は普通に行われる。それの一
つの形が左右で、患部と逆の方に鍼をするというものなのだと感じた。
 そういう経験が有って、実は40年ぐらい経った今でもずっと、逆の方に鍼をするという治療を
している。
 左右の問題というのは『素問』陰陽応象大論に文章がある。この章は荘重な格調の高い文章な
ので武術の流儀のように思えるが、実際にはそういうものでは無い。
 陰陽応象大論で「左右は陰陽の道路なり」と言う時、左と右というのは、二つで一つと考える
のである。右に鍼をして左の症状を取るといっても、神秘的なものでは無くて、これは単なるノ
ウハウで行っているだけである。これの元になった考え方が繆刺と巨刺である。

■『素問』至真要大論篇第七十四注
 *ある気が強くなり過ぎた場合に、その強くなり過ぎたものを中和するために相剋の気が盛ん
 になってそれを抑える働きを「復」という。その時にどのような症状が生じるかという事を第
 三十一章から章ごとに六気の順番に書いてある。

□第三十四章より
 少陽の復は、大熱(だいねつ)將(まさ)に至らんとし、枯燥燔爇(こそうはんねつ)し、介
蟲(かいちゅう)迺ち(すなわち)耗る(へる)。驚瘛欬衂(きょうけいがいじく)し、心熱煩
躁(しんねつはんそう)す。便數(べんさく)、風を憎み、厥氣(けっき)上行して、面、浮埃
(ふあい)の如く(ごとく)、目乃ち(すなわち)瞤瘛(じゅんけい)し、火氣内に發す(はっ
す)。上み(かみ)、口糜嘔逆(こうびおうぎゃく)、血溢血泄(けついつけっせつ)を爲し
(なし)、發して(はっして)瘧(ぎゃく)を爲し、惡寒鼓慄(おかんこりつ)し、寒極まって
反って(かえって)熱し、嗌絡焦槁(えきらくしょうこう)し、喝して水漿(すいしょう)を引
き、色、黄赤(おうせき)に變じ(へんじ)、氣少なく、脈萎え、化して水と爲り、傳えて(つ
たえて)胕腫と爲る。甚だしければ則ち(すなわち)肺に入りて、欬して(がいして)血泄す。
尺澤絶すれば、死して治せず。
少陽相火の気が立ち上がると、あまりにも暑くて植物が枯れてしまう。介蟲(かいちゅう、金に
属す蟲)、甲羅を持つ虫が減る。けいれんを起こし咳をする。鼻血が出る。心熱煩躁する。
 裏の状態は小便の回数が増える。表に熱が有ると風に当りたく無くなる。(火が心と肺に乗じ
た状態となる)厥氣(けっき)、逆気が体の下から上に向かう。顔が黒っぽい汚らしい状態にな
る。目がぴくぴくする。口がただれてくる。血溢、血が口から出てくる。血泄、大小便に血が混
じる。(血が出てくるのは「熱」の状態)寒気がして、歯をガチガチさせる。その後、寒が極ま
って高い熱が出る。のどが渇くので水を飲みたくなる。色は熱が脾に有れば黄色、心に有れば赤
色になる。呼吸が浅くなる。熱の影響で正常な脈の状態では無くなる。火から水に症状が移って
水病になる。皮膚がだんだんとむくんできて、押したら戻ってこない。ひどくなれば腎に病が伝
変する。咳が出て大小便に血が混じる。尺澤(しゃくたく)の脈が触れなくなれば予後は良くな
い。(尺澤は手の太陰肺経の穴なので火が金を尅し脈が弱くなる)
                      (素問勉強会世話人 東大阪地域 松本 政己)