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平成28年7月素問勉強会/至眞要大論篇第七十四注 第三十章 ~第三十二章2016.08.10

● 日 時 : 平成28年7月10日(日) ● 会 場 : 大阪府鍼灸師会館 3階 
● 講 師 : 日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

◆『医道の日本誌』2016年7月 臨床に活かす古典 「№51 肥痩」のお話より
 人間のからだというのは中国医学では「形」と「気」というものに分けられる。「形」
というのは形体である。太ってる痩せてるというのもそれに入る。外から見たら「この人
太ってるな」とか「なにか普通では無いな。痩せてるな」というようなもの、それが形体
である。「気」というのは体の中にあって目に見えなくて、しかも特定の形体を維持させ
るための全体の機能である。
 「気」というのは蔵府(臓腑)と経脈の事をいう。この二つのものが「気」であるとい
う条件はまず目に見えない事である。目にみえないものが気である。気の代表というのが
蔵府(臓腑)と経脈ということになる。「形」というものが無ければ「気」というものは
ありえない。「形」入れ物が無いと、「気」蔵府と経脈は維持できない。
 昔の人たちは、見る見る痩せ細っていって、ものが食べられなくて死んでしまうとか、
一見普通の体なのにいわゆる認知機能がだめになって人間的に日常生活を送れなくなる、
という風なことの認識はあったようだ。太ってる痩せているという問題を気血の有余や
不足という風に見るということもある。目で見て触って、外から感触できるものが「形」、
外から見るだけでは無くて所見や脈状などの、中のものを観察するシステム、古い時代で
あれば病証学的なものと脈診、これによって中の気を見る、そしてこの二つから形気の状
態をみるということが非常に重要な問題になる。
 太ってる人は脈が沈んだほうが良い。痩せてる人は脈が浮いてるほうが良いとは、『傷
寒論』の弁脈法や『脈經』の中に引かれている『千金翼方』の注の中にも出てくる。太っ
ている痩せているというのと脈の浮沈の基本は決まっている。
 仰向けに寝た時に、胸の幅よりも横にはみだしたら太っているとする。もう一つは肋骨
の高さよりも、へその部分が高くなれば太っているとする。手足が細くて顔も細い人で、
非常にスマートな人でも太っていると判断しなければいけない事がある。何故おなかなの
かと言えば簡単で、おなかは血が蓄積するからである。つまり、ものが一番蓄積する場所
だからである。手足というのはよく動かすので、お相撲さんみたいに山ほどものを食べな
ければ、丸太ん棒みたいにはならない。胴体はものが蓄積するのでそういう風な
判断をす
る。これは割合妥当なのではと思う。太ってる痩せているというのは、くれぐれも体重で
見てはいけない。体形で見る。

■至眞要大論篇第七十四注 第三十章~第三十二章
第三十一章
帝曰く、六氣の復(ふく)、何如ん(いかん)、と。
歧伯(きはく)曰く(いわく)、悉(しつ)なるかな問うこと。
厥陰(けっちん)の復(ふく)は、少腹堅滿(しょうふくけんまん)し、裏急暴痛(り
きゅうぼうつう)し、木偃し(き たおれふし)、沙(すな)を飛ばし、倮蟲(らちゅ
う)榮せず(えいせず)。厥心痛(けっしんつう)し、汗發し(あせ はっし)、嘔吐
し、飮食(いんしょく)入らず、入りて復た(また)出づ。筋骨掉眩(きんこつとうげ
ん)し、淸厥(せいけつ)す。甚だし(はなはだし)ければ則ち(すなわち)脾に入り
て、食痺(しょくひ)して吐く。衝陽(しょうよう)絶すれば、死して治せず。

 が問われた。「六気の報復とはどういうものであるか」と。
 岐伯が答える。「なんと詳しい問いかけでしょう。厥陰風木の気が何かに対して報復
する場合は、少腹堅滿(しょ
うふくけんまん)、下腹部が堅く満ち満ちてくる。裏急暴
痛(りきゅうぼうつう)、急におなかが痛む。風に吹かれて木の形が変わってしまう。
砂が吹き飛ばされる。
倮蟲(らちゅう:木・火・土・金・水のうち土に属する蟲【むし】)は木が盛んになると土が圧迫されるので十分に生育しない。厥心痛(けっしんつ
う)、気が逆上して胸が痛む。冷や汗が出る。嘔吐する(脾の症状)。食べたものが通
じないで吐き戻す。筋骨掉眩(きんこつとうげん)、めまいがして体を支えていられな
い(風の症状)。淸厥(せいけつ)、足が逆冷する。食べ終わって心下が痛み、ものを
吐き出す。 (胃の気が逆して内容物が下っていかない状態。木が盛んになり脾胃【土】
が影響を受ける)
 衝陽の脈(胃をみる脈)が絶えてしまうと予後不良となる」

王冰(おうひょう)は、「厥心痛(けっしんつう)」を「氣厥(きけつ)」と表現し
て「胸から脇の方に向かって気が突きあげる。胃が逆気を受け、上って心を攻めて痛む。
激しく痛み、冷や汗が出る」と言っている。
                  (素問勉強会世話人 東大阪地域 松本 政己)

 

 次回は、至眞要大論篇第七十四注 第三十三章 から です。
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