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素問

平成28年6月素問勉強会/至眞要大論篇第七十四注 第二十七章~第二十九章2016.07.08

● 日 時:平成28年6月12日(日) ● 会 場:大阪府鍼灸師会館 3階 

● 講 師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

◆『医道の日本誌』2016年6月 臨床に活かす古典「№50 男女」のお話より 
 井上雅文の『脈状診の研究』でも二か所で男女の問題について書いている。着目
したのは『脈經(みゃくきょう)』の中に出てくる、或いは『脈經』の注の中に引
かれている『千金翼方』の一節「男子は左(左手の脈)が大なるものが順、女子は
右(右手の脈)が大なるものが順である」という記述である。これは非常にきっち
りとした考察をしている。脈状というのは、体格だけでは無くて性質や年齢、性別
の違いにも関係があると言う。性別と脈状の関係、年齢と脈状の関係について『脈
經』の「左が大、右が大」の男女の問題を挙げている。これは非常に示唆にとんだ
ものである。
 外傷というのは、かぜ、寒に傷(やぶ)られたなどであるが、これは男女の別な
く誰でも傷害を受ける。問題は内傷の場合である。右手の脈が沈脈で左手の脈より
も弱ければ気の病、両方とも脈が沈んでいて右手の脈の方が大きければ、血の病で
ある。たとえば脈が沈んでいても、左手と右手の脈の強さが違うという事で気が病
んでいるか、血が病んでいるか
がわかる。血の病というのは、当然女性の生理と関
係しているだろう。気の病は、男性の疲労の仕方に関係あるだろう。男性の疲労の
仕方というのは、これは例えば会社などで、管理職となって神経をすり減らしてい
る状態を想定している。

至眞要大論篇第七十四注 第二十七章~第二十九章
第二十九章
 太陽の勝(しょう)は、凝慄(ぎょうりつ)且つ(かつ)至り、時に非ずし
て(あらずして)水冰り(こおり)、羽(う)迺ち(すなわち)後れて(おく
れて)化す(かす)。痔瘧(じぎゃく)發し(はっし)、寒厥(かんけつ)胃
に入らば、則ち(すなわち)内、心痛(しんつう)を生ず。陰中(いんちゅう)
迺ち(すなわち)瘍(よう)あり。隱曲(いんきょく)利せず、互いに陰股(
いんこ)に引き、筋肉拘苛(きんにくこうか)し、血脈凝泣(けつみゃくぎょ
うしょく)し、絡滿ち(らく、みち)色變じて(いろ、へんじて)、或は(あ
るいは)血泄(けっせつ)を爲す(なす)。皮膚否腫(ひふ、ひしゅ)し、腹
滿(ふくまん)食減(しょくげん)す。熱反って(かえって)上行して、頭項囟
頂腦戸(とう・こう・しん・ちょう・のうこ)の中痛み、目、脱くる(ぬくるが)
如し(ごとし)。寒、下焦に入れば、傳えて(つたえて)濡寫(じゅしゃ)を爲
す(なす)、と。

 太陽の勝とは、甲(こう)・丙(へい)・戊(ぼ)・庚(こう)・壬(じん)
の五つの辰歳(たつ年)と五つ(甲・丙・戊・庚・壬)の戌歳(いぬ年)で、司
天(1年を60日毎6つに分けた第3期)に太陽寒水の気が来る年である。この年、
陽の気がのびのびと出てこないので非常に寒い。凝慄(ぎょうりつ:凝肅惨慄
(ぎょうしゅくさんりつ)のことを指す表現であろう)非常に寒いので震えあが
っている。非常な寒さでものを凍りつかせて、自然界を静かにさせてしまう状態
が訪れる。その結果、水が凍らないような時期にも凍る。水が火を抑制するため
羽蟲(うちゅう)、火に属する動物の発生が遅れる。痔と瘧(ぎゃく)、寒熱が
往来する状態の両方が起こる。寒の気が足から上に向かって胃に入り影響して、
心をおかすため痛みが出る。陰部にできものが出来る。大小便が充分出ない。陰
股が痛む。筋肉が引きつる。寒の影響で血脈が凝泣して皮膚表面に細絡が出来る。
大便に血が混じる。寒くて皮膚表面の水が巡らず、腫れた状態になる。腹部に寒の
邪気があるため気を滞らせるので、おなかが張り食欲不振におちいる。寒邪により
熱が上っていき、うなじから頭のてっぺんまで、また腦戸、頭の中も痛む。目も痛
む。寒が下焦に入れば(体内の湿邪も影響し)水様便が出る。

*厥(けつ)とは、体の下と上の症状のアンバランスな状態をいう。本来は上にあ
る陽の気が下り、足を温め、下にある陰の気が上って頭を冷やすということをして、
体のバランスを取っている。上は陽で下は陰なので、そのまま置いておくと陰陽が
アンバランスになって、下が冷えて頭が熱い状態になる。それを気が巡るという状
態にして、下の陰の気を上げ、上の陽の気を下げ、極端に暑くも寒くも無いように
する。それが出来ない時が厥の状態になる。

:P次回は、至真要大論篇第七十四注 第三十章からです。
 『素問』の森を歩いてみませんか。鍼灸の歴史に立ち止まり、振り向く楽しさが見
  つかるかもしれませ
ん。ご参加をお待ちします。
                (素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)