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研修会&講座のお知らせ

28年第1回学術講習会報告2016.05.08

■日時:平成28年4月10日(日)

■会場:森ノ宮医療学園専門学校 本校舎7階

■主催:(公社)大阪府鍼灸師会

《報告①》「医療のイノベーションをOSAKAから世界へ」
        講師:公益財団法人 未来工学研究所 客員研究員 
                         坂部 昌明 先生
 28年度のスタートにふさわしく「元気がでるテーマ」ということで、我々
鍼灸師や大阪府鍼灸師会そして業界全体の明るい未来について講演して頂きま
した。
 まず未来を知るためには、今を知らなければいけません!
①鍼灸師を取り巻く現状
 世界においても、現状維持という考えには限界がきており、あらゆる分野で
以前とは変わりつつあります。鍼灸も例外ではありません。ある国では、国家
事業レベルで鍼灸を伝統文化として位置付け、医療的側面と文化的側面の両面
で世界にアピールしています。各国とも伝統医療(鍼灸も含めて)を国家戦略
の1つとして利用しているのが現状です。
 それでは、日本はどうでしょうか?日本でも鍼灸の歴史は長く、日本古来の
身体観・医学観・養生観を持っているものの伝統文化という認識が弱く、医療
的な面でも既存の医療システムの中では力を発揮できて
いないのが現実です。
現在、日本では人口構成も移行期に入っており50歳以上の人口と50歳未満
の人口比率が逆転し、高齢化率がどんどん上がっていく少子超高齢化社会を迎
えていきます。社会保障給付の推移を見ても、年金比率はどんどん上がってい
くのに医療費は横ばい、福祉の伸び率もそれほど上がらないといった元気な高
齢者が増え続けていくと予想されます。鍼灸も現状維持では“鍼と灸は残っても
鍼灸師が残らない”といった事態を招きかねません。

②今後の展望 ③今なすべきことは何か?
 鍼灸の置かれている現状を把握しつつ、今自分がどの立ち位置にいるかを知
る必要があります。そこから未来に向かって何をすべきかというミッション(方
向性)を立ち上げ、そして実行していかなければなりません。しかしそこにはイ
ノベーション(技術革新)が必要になってきます。ですが、ただ単に新しいもの
を創りだすのではなく、今あるものをよく眺め、価値を高めていくことが必要に
なってきます。そういった意味で、現在大阪府鍼灸師会が取り組んでいる「擦過
鍼」「災害医療」は、通常的革新(イノベーション)を含んだミッションで、ぜ
ひ大阪から新しい方向性を発信してほしいという提言を頂きました。
 また無資格者による施術が社会的にも問題視される状況で、鍼灸師の免許証所
有証明カードの発行というのは画期的な事であり、厚生労働省も無資格者との区
別に一歩乗り出したとも言えます。
 これから鍼灸師を目指す若者が主役になる頃が、状況的にとても厳しい時代を
むかえるかもしれません。そんな時のために新しい医療のカタチを創りあげる事
が、我々の今なすべきことなのかもしれません。しかも日本古来の伝統文化とい
う側面を継承し、さらに発展させることができれば、なお価値が高まるのではな
いでしょうか。大阪府鍼灸師会がリーダーシップを発揮することが出来れば、新
しい未来がみえてくるかもしれません。
 28年度の学術講習会も美容鍼灸、経絡治療、特殊鍼法、スポーツ鍼灸、災害
医療、地域包括などといった様々な分野の講習会を計画しております。明日の臨
床に活かせるものを掴みに、ぜひ講習会に参加してみて下さい。
                        (研修委員会 荒木 善行)

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《報告②》「鍼灸師が鍼灸専業で成就するために伝えておきたいこと」
                  講師:(公社)大阪府鍼灸師会 住之江地域
                               山田 敏朗 先生

 標記の演題で、臨床経験40年以上という山田先生のお話と実技を間近で拝見
させて頂きました。
 ①人として自己の健康管理と思考、自分を取り巻く家族や地域との関わりの重
  要性。

 ②鍼灸師としての自覚と適正、そしてプライドを持ち日々の臨床にあたること
  は勿論、医療人と
して多くの知識を持ち良質の道具を使うこと。
  自分の治療院の院是を持ち、日々臨床にあたる。

 先生は色々話されましたが、私は「治るという確信 治そうという意思 治す
という信念を継続する」こ
の言葉が最も印象的でした。

 ③患者の立場にたって、早く、安く、心地よく安全に治す。これが出来れば口コ
  ミで患者増。

 ④個人事業主として、諸々の税金の申告と納付。また各種年金や保険を掛けるこ
  とによる将来の
生活の安定と安心。

 以上の事を土台とし自分なりの治療の型を持ち、患者さんとの信頼関係を構築し
選ばれる鍼灸師に成ること。
 実技では、先ずお灸に使う艾の伸ばし方。
 濡らした脱脂綿で拭いて湿らせたガラス板の上で、上質の小指大の艾を古い葉書
で(ざらついた紙質が良い)スライドさせながら、爪楊枝くらいの細さに均等に伸
ばす。
 治療に使うには、湿気が抜けてからとなるため多めに作り置きし、乾燥を確認出
来たものからになります。(通常一週間弱)
 次に糸棒灸と言って、韓国製の艾でシャーペンの芯のように細く5〜6㎜程度の
長さの艾を使った治療です。
 これは、手指関節や腱鞘炎等微細な部位で使用します。
 特効穴については、麦粒腫に著効あるツボを披露して頂きました。
 部位として、例えば左眼上瞼外側の患部に対し、左手拇指背側遠位関節の尺側上
部への施灸半米粒4〜5壮。{拇指を屈曲させた遠位関節を眼瞼に見立てて(指先
の方が眼瞼の下側)、左右上下を対応させる。}
 刺鍼法として透針皮下針という手技。これは寸3-2鍼で皮下横刺し、鍼先を皮膚
表面に露出させるものです。モデルの肩関節に置鍼したまま上肢を動かす。
 又、簡易捻挫法という手技は、塩沢幸吉氏の「挫刺針法」の簡易版ということで、
刺鍼後鍼を一方向に回転させ組織を巻き付けそのまま軽く雀啄、組織を巻き付けたま
まの状態で抜鍼することにより硬結の弛緩が期待できるというもの。
 この施術は、私自身がモデルと成り体験しましたが手技から想像するよりも、「ヤ
ンワリ」とした刺激でした。
 町の臨床家の先生の治療、十人十色の治療があることを改めて実感するとともに、
自分の治療の引き出しを増やすことと、患者さんとの信頼関係のたいせつさを教えて
頂きました。                   (研修委員会 中川 欣久)