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12月素問勉強会/至眞要大論篇第七十四注 第七章~第十章2016.02.08

●日 時:平成27年12月13日(日) 
●会 場:大阪府鍼灸師会館3階 
  
◆講師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

●『医道の日本誌』2015年12月臨床に活かす古典 
 「№44 治療その4」のお話より 

●脈診について
 脈診の歴史を研究すると、『脈經』の時代から金元明時代のあるいは江戸時代の
脈診の経緯というのは、かなり複雑である。しかし問題になるのは今の脈診だとい
える。古典を材料とする時、今の脈診に役に立つものだけが大事で他は不要という
ことでは無い。今現在の脈診を行っている経験や問題意識を抜きにして古典は読め
ない。脈診のことは脈診を行っている人以外にわかるはずも無い。誰でも鍼灸を論
じることは出来ても、鍼を持ったことの無い人に鍼灸の事はわかるはずも無いとい
う風に思う。鍼を持つこと自体難しいのである。鍼を持つのには鍼が手になじむま
でに、半年、一年、二年とかかるのである。ただどこかに刺せば良いというもので
は無い。鍼灸の古典の問題、現在の鍼灸の問題というのは、鍼灸を実際に行ってい
る人が問題にしなければ、全然問題にならないだろうと思っている。古典を理解す
る為には、現在行っていることが非常に役に立つと思う。古典を見ることによって、
また古典の方から我々に投射してくるものがあるという風に思う。

●至眞要大論篇第七十四注 第七章~第十章
 至眞要大論篇というのは司天や在泉や六氣というものが、どういう風に自然界の
人間の体に影響を与えるかというのを述べた部分である。その中で七章は脈診のこ
とを述べている。 
 司天は、一年を60日ずつ六つの季節に分けた第3期をいう。在泉はその第6期を
 いう。今年、西暦2016年の司天は5月20日(小滿)~7月22日(大暑)、在泉は
 年をまたいで11月22日(小雪)~2017年1月20日(大寒)である。
 なお六氣は一年を60日毎に六つの季節に分けたものである。

第七章より
 曰く、夫子言う、陰陽の在る所を察して之を調う(ととのう)、と。論に言う、
人迎と寸口相い應じて、繩を引くが若く(ごとく)、小大齊等なるは、命づけて平
と日う。陰の在る所、寸口何如ん(すんこういかん)、と。
 は言われた。「岐伯先生は、人迎脈口診を使ってこれを調えると言われた。論
(書物名は不明)によると人迎の脈(頸の動脈)と寸口の脈(橈骨動脈)が綱引き
のように引き合い、小さくなったり大きくなったり同じになったりする。力が同じ
になった時を平というと。では寸口(陰の在る所)というものの運気論における脈
診とはどんなものであろうか」と。


 岐伯曰く、歳の南北を視て、之れを知る可きなり、と。
 木火土金水の土運の年、甲(きのえ)と己(つちのと)の年というのを南歳(な
んせい)と言う。それ以外の十干のうちの八つの年【木運は丁(ひのと)と壬(み
ずのえ)、火運は戊(つちのえ)と癸(みずのと)、金運は乙(きのと)と庚(か
のえ)、水運は丙(ひのえ)と辛(かのと)の年】を北歳(ほくせい)と言う。偉
い人は南の方を向いて物事の政治を行うといういわれが有り、まずそのイメージか
ら来ているのである。北歳の年には人の気は北の方に向く。人が北の方を向いて手
を前に出すと寸口が尺中の北の方に位置する。尺中は寸口の南側に位置する。これ
は寸関尺の三部をみるのでは無くて、二つの部位の脈をみる寸尺診である。ある幅
の中での橈骨動脈の前半分と、後ろ半分を寸と尺という風に分ける。北歳の年は寸
が北の方に、尺が南に来るというものを前提にしている。 
 岐伯は答えて「今年が南歳の年か北歳の年かをまず見た上で、脈診におけるその
年の気のあり方というものが理解できるのです」と。


 曰く、願わくば卒く(ことごとく)に之れ(これ)を聞かん、と。
 は言われた「出来ればくわしく聞かせてくれないか」と。

 岐伯曰く、北政の歳、少陰在泉なれば、則ち寸口應せず。厥陰在泉なれば、則ち
右應せず。太陰在泉なれば、則ち左應ぜず。南歳の年、少陰司天なれば、則ち寸口
應ぜず。厥陰司天なれば、則ち右應ぜず。太陰司天なれば、則ち左應ぜず。諸々の
應ぜざる者は、其の診に反すれば則ち見わる(あらわる)、と。
 岐伯が言うには「北政の歳についてですが少陰君火が在泉(第6期)に来る年に
は、本来ならば浮いている寸口の脈が沈んで細くなります。厥陰風木が在泉に来る
年には、右の寸口の脈が沈んで細くなります。太陰濕土が在泉に来る年には、左の
寸口の脈が沈んで細くなります」「南歳の歳は、少陰君火が司天(第3期)に来る
年に寸口の脈が沈んで細くなります。厥陰風木が司天に来る年は右の寸口の脈が沈
んで細くなり、太陰濕土が司天に来る年には左の寸口の脈が沈んで細くなります」

 南政の歳には、人は南を向いて手を前に出す。すると寸口が尺中の南側に来る。
  尺中は寸口の北側に位置する。
                (素問勉強会世話人 東大阪地域 松本 政己)